漢方医おすすめ「簡単に作れるニンニク油」で老化防止

洋の東西を問わず、昔からニンニクは食用と薬用の両面で、重要な役割を果たしています。栄養面においてニンニクを食べるメリットは多いのですが、生ニンニクの刺激性は実際気になります。
そこで、ひと工夫した食べ方をすれば、ニンニクの辛さを取り除いて栄養を残すことができます。

アリシン効果で「老化防止」と「がん予防」

ニンニクはアリシンを豊富に含み、がんの予防やアンチエイジングにも効果を発揮します。
馥芊漢方クリニック院長で、漢方医学と西洋医学の両方を修めた李嘉菱医師によると、ニンニクに期待できる効能として、がん予防や抗老化(アンチエイジング)のほか、消化の促進、血液循環の改善、コレステロール低下、血小板凝固による血栓症の回避、動脈硬化の回避、心血管疾病の予防などが挙げられると言います。

ニンニクに含まれるアリシンは抗酸化と殺菌のすぐれた機能をもつ化合物ですが、不思議なことに生ニンニクの段階では、ほとんど含まれていません。

調理のときに包丁で叩きつぶしたり、細かく刻むことによってニンニクの細胞内の酵素が放出され、辛味と刺激、さらには独特の臭気をもつアリシンが生成されるのです。

そのため、ニンニクを食べてアリシンを有効活用するためには、細かく刻むなどの調理の過程が必要になります。
刻んでいないまま素揚げや生食しても、アリシンの効果は十分に生かされません。

李医師は、「アリシンの含有量は抗酸化力に影響します。抗酸化の効果が良いなら、生ニンニクを食べてもいいのですが、食べる人によっては胃腸が弱いなどの個人差もあるので、調理済みのニンニクを食べるほうがいいでしょう」と言います。
 

「4種の人」はニンニクを避けましょう

ニンニクを食べる許容量は、通常ならば1日に1~3個まででしょう。ニンニクの味は辛く、漢方における属性は辛温性なので、寒湿体質の人はニンニクを多く食べることによって体内の寒湿を除去することができます。

ニンニクは、基本的に健康に役立つものですが、以下の4種の症状がある人には注意が必要です。

1、胃腸の悪い人
胃炎、腸炎、胃酸過多、胃潰瘍、胃食道逆流など胃腸に何らかの症状がある人は、症状を悪化させないため、ニンニクを食べるのは控えてください。

2、眼病のある人
あまり多くのニンニクを長期間にわたって食べると、肝臓を傷つける可能性があります。『本草綱目』には「ニンニクを久しく食べると、肝を傷つけ目を損ねる」と記載されています。
漢方医学では、肝臓は目に関係が深いので、ニンニクの食べ過ぎが目を傷つけることもあると考えるのです。

眼圧が高い、ドライアイ、結膜炎などの眼病のある人は、目の状態が改善されるまではニンニクを避けてください。また、パソコンやスマホなどで普段から眼を酷使している人も、同様です。

3、熱性の風邪の人
ニンニクを食べることで風邪を予防できますが、インフルエンザなど高熱の出る熱性風邪は例外ですので、ニンニク以外の有効な方法を講じてください。

確かに、ニンニクには風邪の予防や殺菌効果があると言われています。
李嘉菱医師は、これは「風寒型の風邪」に限ると述べています。
風邪が熱性になってしまって、喉が腫れて痛くなったり、痰や鼻水が黄色くなった段階では、ニンニクの治療効果は及びません。

4、体がほてりやすい人、湿疹の出やすい人
ニンニクは刺激が強いため、体内の炎症反応も強くなります。

夜更かしをしたり、目が赤くなったり、吹き出物がたくさんできたり、痔になるなど、体がほてりやすい人は、ニンニクをあまり食べない方が良いでしょう。また、湿疹ができやすい体質の人も、ニンニクはあまり食べられません。
 

簡単に作れる「ニンニク油」が便利!

李医師によると「ニンニクに関する禁忌は、主に食べる量にあります」とのこと。ニンニクそのものが体に悪いのではなく、あくまでも食べ過ぎてはいけないと言う意味です。特に生ニンニクは刺激が強いので、空腹時は避けましょう。

漢方医・李嘉菱氏がお薦めする「ニンニク油」は、ご家庭でも作りやすく、栄養があるうえ各種の料理にも役立ちます。

材料は、ニンニク1個に対して、オリーブオイルが50g。
作り方は、ニンニクをほぐしてスライスし、油を引かないフライパンに入れて弱火で炒る(いる)か、またはオーブンで香ばしく熱します。
あら熱を飛ばしてから、オリーブオイルを入れた容器に入れ、浸して完成です。

自家製ニンニク油は、炒ったニンニク片をω-3脂肪酸が含まれるオリーブ油、苦茶油またはアマニ油に浸すだけで、簡単にできます。

ただし、ニンニクを油に浸すと劣化しやすくなります。
普段調理している油の量に合わせて作るニンニク油の量を決め、1週間以内に使い切るようにしてください。
使用後は毎回、冷蔵庫で保存する必要があります。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)