『ダ・ヴィンチ・コード』――暗号の歴史

ダ・ヴィンチ・コード』(The Da Vinci Code)は、2003年、アメリカで出版されたダン・ブラウン著作の長編推理小説で、その後、映画化され、現在もなお、人気が衰えていません。

『ダ・ヴィンチ・コード』は、フィクションであるとされているにもかかわらず、実在の組織名を挙げたり、「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている」と明記したりしているため、内容の真偽についての論争を巻き起こしました。

しかし、原作や映画を批判する声がネット上で飛び交っていても、人々は依然とドキドキハラハラするような『ダ・ヴィンチ・コード』に引き付けられています。ここでのコードとは、識別可能な情報を識別できない情報に転換するという意味です。一言で言えば、暗号です。

戦争時だけでなく、普段においても、情報を他人に知られたり、利用されたりすることを恐れています。今日の社会では、人々にはプライバシーは全くありません。いかなる場所でも、情報をネットやパソコンに保存すれば、すぐに他人に知られてしまいます。電話も盗み聞きされ、至る所に我々が知らない、あるいは目に見えない超小型の監視カメラが設置されています。そのため、スパイだけでなく、多くの一般人でさえもメールの中で様々な暗号を使用しています。

歴史上、最も成功したと言える暗号の一つに、第二次世界大戦中、米軍が使っていたナバホ族のコードトーカー(暗号通信兵)があります。ナバホ族の言語を使用したのは、この言語に文字がないことと、ナバホ族の人間の他にこの言語を話せる人がいないからです。米軍はナバホ族のコードトーカーを訓練し、例えば、ナバホ語の「亀」を「タンク(tank)」に変えるなどしました。これでは例えナバホ族の人間でも相手が何を言っているのか分かりません。

多くの人はコードや暗号をそれほど重要なものと思っていないでしょう。しかし、いくつかの状況においては、最も効果のある武器となるのです。例えば、公開鍵の交換を事前に当事者間で行い、その間で電子署名や暗号化されたメールのやり取りを可能にする仕組みPGP(Pretty Good Privacy)は、鍵がなければ、内容を理解することはできません。

最も簡単で有効なコードや暗号は、ある本を使うことです。双方は必ず全く同じ本を持っていなければなりません。そして、本を基準に数字やアルファベット、様々な記号が何を意味しているのかを解読していくのです。

コンピューターが発明されてから、暗号化することは昔と比べて、随分と容易になりました。

しかし、暗号化するという発想は一体どこから来たのでしょうか?答えはエジプトです。約4千年前、ある建築家がクヌムホテプ2世の宝を隠蔽しようとしました。記録を残している時、中の文字をすり替えたのです。

また紀元前1500年頃、アッシリア人は奴隷の頭に暗号を刻み込みました。髪を伸ばすとその暗号を隠すことができました。紀元前600年頃には、アトバッシュと呼ばれるヘブライ語のアルファベットの換字暗号が使用されました。また、古代ローマ人は各文字を辞書順で3文字分ずらすというシーザー暗号(Caesar Cipher)を使用していました。

上記のことは暗号の歴史の一部でしかありません。量子コンピュータの到来により、暗号化は以前のどの時代よりも安全で、普遍的となり、その時、ダ・ヴィンチ・コードは重要ではなくなるでしょう。

(文・大紀元/翻訳編集・天野秀)