世界中のピラミッド(62)ティカル遺跡の神殿都市

ティカル遺跡神殿都市

ティカル遺跡の主な6つの神殿は広場を囲むようにして集中的に建てられており、周辺にはレリーフなどで装飾された遺跡群や石碑などが分布しています。いくつかの石造りの大通りがそれぞれの集合体を繋ぎ、神殿都市を形成し、そして、豊富な地下水脈が今でも都市内で使用する水を供給しています。

広場や神殿の下からは大量の墓が発掘され、110万以上もの工具や祭祀用の器、装飾品などの出土品や石碑が発見され、遺跡内の祭壇だけでも大小合わせて200か所あまりあります。

ピラミッドの南側にはセントラル・アクロポリスと呼ばれる住居地のような集合体があり、3、4階まであります。その南のほうには7つの神殿の広場があり、小さな神殿が広場を囲むようにして建てられています。

ティカル遺跡の中心部分の敷地面積は約17平方キロメートルあり、グラン・プラザをメイン部分とし、周囲の6つの主な大神殿は階段型ピラミッド構造となっており、その斜面は70度と険しい設計となっています。早期の探検家はそれぞれの神殿に数字をつけ、これらの険しい神殿はこの古代都市の主な建築物であるといいます。

1号神殿の高さは約50メートルで、9層にわかれ、正面の階段の斜面は70度を超え、頂上には小さな神殿が設けられ、695年頃に完成しました。この神殿にジャガーの彫刻があることから「ジャガーの神殿」とも呼ばれています。

2号神殿は高さ約46メートルで、マヤの人々の日々の生活や労作などの壁画が描かれており、736年頃に建てられました。正面の階段は修復されているので、上に登ることができ、全体を見渡すことができます。また、頂上の屋根部分に仮面の彫刻があることから「仮面の神殿」とも呼ばれています。
3号神殿は810年頃に建てられました。

4号神殿は高さ約65メートルで、ティカル遺跡では一番高く、マヤ遺跡の中でもかなり大きな規模の神殿です。内部のマヤ暦の日付から741年に完成したことが分かります。また、2つの頭をもつ蛇の彫刻があることから「双頭の蛇の神殿」と呼ばれています。

5号神殿は高さ約60メートルで、ティカル遺跡で2番目に高い建築物です。750年頃に完成しました。
6号神殿はやや小さめで、766年頃に完成しました。

現在見ることができる遺跡のほとんどが7世紀頃のもので、それより以前の建築物は「失われた世界」と呼ばれている一帯にあり、中には修復された高さ30メートルの正四角すい型のピラミッドがあります。その形からテオティワカンの影響を受けていたことが分かります。

ティカル遺跡:双子のピラミッド

グラン・プラザの北、少し離れた場所に双子のピラミッドがあり、典型的なティカルの建物です。どちらも5層に分かれ、頂上には祭祀用のプラットフォームがあり、7世紀初頭に建てられました。

ティカル遺跡はマヤ文明の最盛期(300年頃から900年頃まで)を経験し、巨大な建築物の建設、象形文字の発明、時間を図る道具の開発、陶器の製造、宝石の加工など、この輝かしい文明の発展を物語っています。

(つづく)

――正見ネットより転載
(作者・意文/翻訳編集・天野秀)