ビタミンだけじゃない、健康効果の高いフルーツ(4) りんご

毎日いろいろな果物を食べることによって得られる健康効果は、その栄養成分によって異なると考えられています。雑誌『Circulation』に掲載されたハーバード大学の調査では、1日に5皿(果物2皿、野菜3皿)の青果物を食べると、健康に大きな効果があると報告されています。ここでは、その栄養価の高さが際立つ5つのフルーツをご紹介します。
 

4.りんご

りんごはビタミンやミネラルが豊富なだけでなく、りんごポリフェノールと呼ばれる抗酸化作用のあるフェノール化合物が20種類以上含まれています。

りんごポリフェノールは、心血管疾患や変性疾患など、酸化ストレスによって引き起こされる多くの疾患を軽減することができます。

『アメリカ臨床栄養学会』誌に掲載された研究によると、リンゴには生物活性ポリフェノールと食物繊維が豊富に含まれているため、1日2個のリンゴを食べると、「悪玉」コレステロールとトリグリセリド値を下げ、心臓病のリスクを減らすのに役立つとされています。

さらに、りんごには食物繊維やカリウム、ビタミンCなど、心臓に良い成分が含まれています。水溶性食物繊維は血管の内壁にコレステロールが蓄積するのを防ぎ、動脈硬化や心臓病のリスクを軽減し、カリウムは血圧を下げ、ビタミンCは心臓病や脳卒中のリスクを軽減する働きがあります。

『European Journal of Clinical Nutrition』誌の研究によると、リンゴを多く食べている人は血栓性脳卒中のリスクが低いことが報告されています。

また、りんごはがんのリスクを軽減する働きもあります。『Public Health Nutrition』誌のメタ分析によると、りんごの摂取は、肺がん、大腸がん、口腔がん、消化器がん、乳がんの減少と関連していることがわかりました。りんごには、DNAの酸化損傷から体を守り、腫瘍細胞の増殖を抑制し、抗酸化作用で免疫力を高める活性フェノール化合物が多く含まれています。

そしてりんごには、脳の健康を保つフラボノイドが豊富に含まれています。『アメリカ臨床栄養学会』誌の研究によると、フラボノイド食品の摂取量が多いほど、アメリカの成人におけるアルツハイマー病のリスクが低いことがわかりました。

また、りんごはダイエットや腸内環境の改善にも良いとされています。米国農務省によると、中型のリンゴは約182gで107キロカロリーしかないそうです。平均的な成人の1日の必要カロリーは1800〜3000キロカロリーです。

リンゴの食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維から構成されています。水溶性食物繊維(主に果肉に含まれる)は消化を遅らせ、血糖値のコントロールを助け、満腹感を高めます。不溶性食物繊維(主に皮に含まれる)は蠕動運動を促進し、規則的な排便を助け、便秘を改善します。また、食物繊維は腸内の「善玉菌」のエサとなり、腸内の炎症を抑えるのに役立ちます。中くらいの大きさのりんご1個は4.55gの食物繊維が含まれています。

(翻訳・井田千景)

李怡雯