子どもたちの負の感情は、自然への畏敬の念を育むことで解消する

子どもがさまざまな理由でイライラしたり、焦ったり、キレたりしても、親は影響されないようにしなければなりません。 夕日や身近な自然を眺めさせ、自然への畏敬の念を育むとよいでしょう。

プロの科学ジャーナリストであり、子育てに悩む新米ママでもあった、マクレーン・デュクレブさんは幼い娘を連れて南米、アフリカ、アラスカを訪れ、現地の人々の子育てスタイルを観察し、実際に試しています。 この記事では、彼女と娘さんの子育ての様子を紹介します。

ある晩、娘のエリザベスとロージー、私の3人で夜10時頃マリアの家に帰ろうと歩いていると、頭上の空が見事でした。太陽が海の上に低く横たわり、雲がピンクや紫色に輝いていました。

一日中走っていたので、疲れてイライラしている様子のロージーは、そのまま道路に座り込んで、悲しげに呟き始めました。私がそれを無視していたら、エリザベスは彼女に近寄っていき膝をついて、大きな声で大げさに「あの美しい夕焼けを見てよ。ピンクが見えるよ。ほら紫色も!」と言いました。

ロージーはためらいがちにエリザベスを見つめ、顔をしかめましたが、エリザベスのピュアな声や、その美しい夕日には敵いませんでした。ロージーは空を見上げると、今までの苛立ちが嘘のように晴れていきました。目つきは優しくなり、泣くのを止めて、また歩き始めました。

そのとき私はふと、こう思ったのです。「エリザベスの行動は多くの母親がしてきたことだ」と。

母親は1歳から16歳までの子どもたちに対して、怒りを尊敬に置き換えるという、非常に複雑な心理学的手法を実践しているのです。

1年ほど前、NPR(米国公共ラジオ放送)で「大人が怒りをコントロールする方法」を取材したことがあります。 その中で、神経科学者のリサ・フェルドマン・バレット氏は、大人が怒りをコントロールする方法について教えてくれました。以下はその一部です。

私:何を育てるのですか?

バレット氏:「尊敬」です。
今度、散歩に出かけたとき、雑草の生えた舗道の隙間を見つけたら、自然の力を利用して子供を驚かせてみてください。 蝶々を見たとき、きれいな花を見つけたとき、空の雲を見たときなど、どんな時でも、素直にその感動を味わえるよう、感受性を養っていきましょう。

私:日常生活では、どのようにこの手法を取り入れますか?

バレット氏:例えば、人とビデオチャットをするとき、インターネットの電波が良くないとイライラしがちです。しかし、地球の裏側にいる人たちの顔を見たり、声を聞いたりすることができ、完璧ではなくても、その便利さに感謝します。私はこうやって日常生活のあらゆることにこの手法を取り入れてます。
 

そして、そのときバレット氏が口にした「まあ、敬虔な気持ちを育てようと思えばいいのよ」という言葉が、私にとって最高のアドバイスでした。

バレット氏の目には、感情は使わなければ衰える筋肉のようなもので、特定の感情を時々行使することで強くなると映っているのです。 つまり、敬虔な気持ちを持てば持つほど、脳内の神経筋活動が活発になり、今後この感情を持ちやすくなるのです。

怒りなどのどうしようもない感情を持ち始めたら、この負の感情を正の感情に変えやすくなります。例えば、イライラしたら、この自然への感謝に置き換えて考えることで、心を一変できるのです。

これはまさにエリザベスがピンクと紫の夕陽の中でロージーにとった手法です。

バレット氏は「抽象的で偽善的に聞こえるかもしれませんが、自然への敬意を示す練習をすれば、このトレーニングが本質的に脳の配線を変えて、将来、この感情をより簡単に表現できるようになるとお約束します」と言います。

子どもの脳は、外界からの指示を受け取る準備ができているのです。
したがって、敬虔な気持ちを養うことは、現在の苛立ちを止めるだけでなく、ネガティブなことが将来的に起こりうる可能性を低くすることにもつながります。

<この記事は、欧米を席巻し、100万以上のコメントが寄せられた『自然教養:席捲歐美、破百萬熱議全新型態教養!汲取逾千年原民文化智慧,培育高情商、自動自發、抗壓性強的孩子』から抜粋しています(提供:商周出版社)>

(翻訳編集:里見雨禾)