髪の悩みを抱える少女が世界と向き合い、人々に勇気を与える

オーストラリア・メルボルン出身の彼女の髪は、自立した直毛でとても目立ちます。 すれ違う人は、みな足を止め、じっと見つめてきます。中には写真を撮ろうとする人もいますが、これはシーラさんにとってはよくあることです。

この髪は、遺伝子の変異によるもので、そのため、しばしば注目を浴びたり、傷つけられたりしてきましたが、それがシーラさんの輝くような個性と性格に影響を与えてきました。

シーラさんの母、セレステ・カルバート=インさんは、シーラさんのような髪を持つ確率は100万分の1くらいで、ブロンドの髪を持つのはさらに稀なことだと明かしました。

「彼女は、ありのままの姿で完璧であり、本当に特別な存在です。 彼女の性格、情熱、長所は、私たち家族の誰よりも優れており、その見事な髪も含め、これらすべての資質には理由があると、私たちは本気で信じています」

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シーラさんは2010年4月22日に、普通の赤ちゃんと同じように髪の毛がある、とても元気な赤ちゃんとして生まれました。生後3カ月くらいになると、多くの赤ちゃんと同じように、産毛(胎毛)も抜け始めました。しかし、新しい髪が伸びてくると、彼女の髪型は大きく変化しました。

「髪はまっすぐで、とてもフワフワしていました。髪が伸びても、頭皮をサラッと覆うような感じではなく、まっすぐ立ったままの状態でした」と母親は振り返りました。

両親は「シーラの金髪もいつかは落ち着くだろうと思っていました。しかし、時間が経っても髪がサラサラになる気配はありません。 大勢の人が自分たちを色眼鏡で見るということに、私たちは慣れるしかありませんでした」と言います。

幼い頃、シーラさんは金髪で目立っていたため、いろいろと言われたそうです。 優しい人もいましたが、中には厳しい人もいました。 家族はいろいろなことを言われました。よく言われていたのは、「その子はコンセントに指をつっこんでしまったの」というものでした。

母親のセレステさんは、「こういうコメントが一番傷つくことがあるんです。 人は思ったことをそのまま口にすることがありますが、それが自分の子どもに対しての下品なジョークであるときは尚更つらいものですね」

その時、シーラさんの両親は、彼女が内面的に強くなる必要があることに気づいたのです。

シーラさんの母親は「その時、シーラに一番必要なのは耐え忍ぶ力であり、自分を愛することを教えることだと思いました。だから、私たちは彼女の忍耐力を養うことにしました」と言いました。

シーラさんが5歳くらいのとき、歯の治療を受けました。 小児歯科医は、彼女の歯がもろく、エナメル質が弱っていることに気づきました。 偶然にも、シーラさんに麻酔をかけた病院の麻酔科医は、アンコンバブル・ヘア・シンドロームUHS)のことを知っており、この症状を引き起こす遺伝的要因について研究していたのです。

麻酔科医は、UHSが遺伝子変異によって引き起こされることを説明し、シーラさんにさらなる検査を行う許可を求めました。 検査の結果、髪や歯には影響があるものの、骨や爪の健康状態には問題がないことがわかりました。それにより、未知のものに対する不快感は解消されました。

「私はその結果に安心し、興奮し、すぐに母に電話をして、シーラの髪の原因が見つかったと伝えました」とセレステさんは振り返ります。

「現在も、UHSと診断されたときと同様、シーラの髪の悩みは続いています。 髪の下層が1〜2cmほどしかないほど、ひどい抜け毛に悩まされています。 髪が伸びたと思ったら、また切れてしまいますが、しかし、シーラは自分の髪を守るために最善を尽くしています」

「シーラはずっとロングヘアに憧れていましたが、今は自分らしくいられるのが嬉しいようで、ヘアスタイルも工夫しています」

「シーラは人の言葉に対する忍耐力は成熟しつつありますが、まだネガティブな反応も耳にすることがあります」

「シーラは、相手が自分に反応したり、無視したりすることを覚えましたが、それは起伏が激しい道のりでした。 幼い頃は本当に明るくて聡明な子でしたが、年を重ねるごとにまた少し自意識過剰になってきています。それは、学校での経験やいじめに直面したことが原因だと思われます」とセレステさんは説明します。

ありがたいことに、シーラさんは家族や地域の人々に支えられながら、成長し、自己認識の問題に取り組んできました。 シーラさんのご両親は最近、シーラさん名義のインスタグラムアカウントを立ち上げ、他の人とつながり、同じような悩みを抱える人の支えとなることができるようになりました。

シーラさんの母親は、このアカウントを「小さなオンライン・コミュニティ」と名付け、この病気の患者や知り合いを持つ人々で構成されています。 驚くことに、すでに多くの人がシーラとつながろうと手を差し伸べ、自分の体験談や写真を紹介してくれています。

セレステさんは、ソーシャルメディアのアカウントはシーラさんが成長したら彼女自ら管理すると言っています。

「シーラが自分の経験談を伝えることで、他の人の支えになるでしょう。 もしかしたら、それが誰かの人生に本当の意味で影響を与える日が来るかもしれません。 シーラの世界中の人々とのつながりは本当に素晴らしいもので、私たちはそのことにとても感謝しています」

母親はこう言葉を付け加えました。

「シーラのような優れた子供を持つ親にとって、最も重要なことは、子供に教えてあげることです。 自分を愛すること、レジリエンス(回復力)を教え、そして最も重要なことは、何があっても親切であることを教えることです。 自分が人と違うこと、目立つことが何であれ、それを愛し、受け入れ、最高の自分であれ!!」

(翻訳編集:井田千景)