記憶力低下は年齢と関係ない! 記憶力を維持する4つの方法とは(2)

(続き)

反対にをあまり使わない生活習慣は、脳の健康を脅かすことになります。

米国のアルバート・アインシュタイン医科大学の研究者の曾喬安氏は、「脳を退化させる最悪の習慣のひとつはテレビを見ることです」と述べています。

脳の神経細胞は灰白質に存在していますが、昨年3つの大規模な研究により、中年期にテレビを見る時間が長いほど、将来的に脳の灰白質が小さくなることが示されました。

何年にもわたる追跡調査の結果、中高年層でテレビをよく見る人は、そうでない人に比べて、15年間で認知機能が6.9%低下することがわかりました。

この研究に参加した米国のジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院の博士研究員であるライアン・ダハティ氏は、テレビの視聴時間が平均1時間増加すると、灰白質が約0.5%減少すると指摘しています。

また、これらの研究では、運動をしても、頻繁なテレビ視聴が認知機能に及ぼす悪影響は変わらないことが分かりました。

では、なぜテレビ視聴が脳にダメージを与えるのでしょうか? それは座ってテレビを見ているときには通常じっとしており、且つ脳が思考をしていないからです。タバコも酒もやらないし、健康習慣がいいと思っていても、テレビを見ているうちに脳は少しずつ衰えていきます。

曾喬安氏によれば、高齢者がテレビを見るのをやめて散歩に出かけ、人と話すことができれば、最も簡単で持続可能な脳の維持につながるとしています。

テレビを見ることで脳に影響を及ぼす欠点は、「じっとしていること」と「脳が思考しない」の2点です。(mits / PIXTA)

あなたの脳を輝かせる4つの方法

テレビをよく見る人は、脳の健康を取り戻すには手遅れなのでしょうか? 神経学教授の王培寧氏は、「実は、脳は年齢に関係なく、常に柔軟性の高い器官である」と語っています。脳梗塞にしても脳卒中にしても、リハビリテーションによって改善する可能性は必ずあります。

また、生まれてからずっと、脳は学習しながら常に調整をしています。大人になった脳は、日々の経験や学習したこと、見聞きしたことをもとに、つながりを調整し続けています。

研究者らは、大人になっても、新しい事を学ぶことによって脳を刺激し、脳に良い変化をもたらすことを奨励しています。

ここからは、皆さんが生活の中で、神経細胞の再生とつながりを促進する方法をご紹介します。

1. 有酸素運動

ジョギング、早歩き、水泳、ダンスなどの有酸素運動は、脳の容量を増加させる効果があります。

高齢者の脳体積に対する有酸素運動の効果を調べたところ、この種の有酸素運動は高齢者の脳組織の退化を避けることに関連することがわかりました。研究者らは、有酸素運動が脳内の新しい毛細血管の成長を促進し、神経細胞の結合数を増加させ、高齢者の神経変性を遅らせることができるといいます。

王培寧氏は中でもダンスをおすすめしています。ダンスはステップや動きを覚える必要があるため、精神的・肉体的な活動を兼ね備えているからだとしています。

2. 脳を活性化させる静的活動

テレビを見るよりも数独を解いたり、読書や将棋をしたりする方がより脳に効果的です。このような受動的な脳活動は、脳の認知機能を維持し、認知症の可能性を低減することに関連します。

3. 精神と肉体を必要とする活動

家事やガーデニング、旅行などの活動には、精神力と体力の両方が必要です。

例えば旅行では、計画から、旅行中の社交、旅行に関する情報のまとめなど、精神的・肉体的な労力を必要とするため、脳の活性に有効です。

4. 幅広い興味・関心を育む

曾喬安氏は、脳全体を刺激することで、脳を活性化させることができると述べています。家事や運動、読書のほかに、音楽を聴いたり、歌ったり、演奏を楽しんだりすることは全て脳の活性化につながります。またこれらをを組み合わせたパフォーマンスでは、脳全体が活性化されます。

(完)

 

蘇冠米