2種類のお粥が疏肝補血、除湿、眠気、疲労を和らげます。

二種類のお粥が、肝機能の調整やバランスを整え、血液を補充または強化し、過度の湿度を避け、眠気を防ぎ、疲労を和らげます。

注:「疏肝」(そかん)は、肝臓(肝臓のエネルギーの流れや機能)に関連し、肝機能の調整やバランスを整えることを指します。「補血」(ほけつ)は、血液を補充または強化することを指します。

最近、眠い、疲れやすい、気分が上がらない等々、常に睡眠不足のような、春の眠気に似た状態になっている人が多くなっていますね。 

これは、夏の湿度が高く、火気が抑えられ、心火が抑えられ、肝気も落ち着かないからです。  肝は朝に対応する木の気に属しているので、朝は肝に栄養を与え、肝の気を浄化し、気と血を補充すると、眠気と疲労の症状が改善されます。つまり、肝機能の調整やバランスを整え、血液を補充または強化することです。

そのため、朝に、お粥を食べると胃腸が丈夫になり、湿気が払われ、肝の詰まりが取れて気が養われるのです。つまり元気になるのですね。

伝統的な中国医学では肝を調整し、最初に脾と胃を大事にすることがよく言われます。  そしてお粥は最高の胃薬だと言われているのです。 

『本草纲目』には、お粥についての話があります。斉和尚という男の人がいたそうです。斉和尚は、山の僧は明け方に一杯のお粥を食べると、一日の始まりが良く、体が乾いてのどが渇くこともないと言いました。 なぜかというと、お粥は胃腸の気の滞りを解消し、体液を作り出し、五臓六腑を養う最良の方法だからなのですね。

お粥の表面についているお粥のスープを、粥油と呼ぶのを聞いたことがあるかもしれません。その効能は、冷たくもなく熱くもなく、非常に穏やかで、健康価値は高麗人参よりも優れているのです。体内の熱を気にせずに毎日摂取できます。お粥は腎の気を補充し、胃に栄養を与えて湿気を取り除き、肝を落ち着かせて気を補充してくれるのです。 

したがって、毎日おかゆを食べることが、健康を維持する最も簡単で、効果的な方法であり、シンプルな食材は神から与えられた命の宝なのです。 胃の気が十分であれば、肝の気と血が調和して補い合うのです。

ほうれん草粥:肝を養い、血を補い、腸を掃除する。

シンプルなほうれん草のお粥をご紹介しましょう。『本草纲目』には、ほうれん草のお粥が「中気を調和し、燥気(そうき:焦り)を潤す」と書かれています。中気は脾胃を意味し、燥気は乾燥、つまり五行の金を意味するのですね。 肝が憂鬱になりやすいのに対して、肺の燥を取り除く効果が期待できるのです。つまり、ほうれん草のお粥を食べると、肝火を落ち着かせ、肺に潤いを与えることができます。腸内も潤滑されて滑らかになるのです。

ほうれん草の最大の特徴はその濃い緑色で、葉緑素と食物繊維が豊富であることを意味しています。伝統的な中国医学の観点から言えば、緑色は肝気に用いるべきものであり、肝に入って肝を清め、肝の火を取り除くことができることは明らかであるとされています。 ほうれん草はなめらかでしっとりとした味なので、乾燥を潤す効果が高いのだろうと思われています。 

そのため、内熱や便秘のときにこの粥を食べると良いとされています。 ただし、ホウレンソウはもともと冷たいので、脾胃が冷えている人は食べ過ぎに注意しなければなりません。 また、冷たさを和らげるためにショウガやネギ、トウガラシを加えるのも良い方法ですね。

肝の五行は木ですが、肝の主な働きは経絡を分散させて全身がスムーズに流れるようにすることであり、心を滋養する血が作られるようにすることなので、肝気が鬱滞(鬱滞 は、血流などが静脈内などに停滞した状態)してはいけないということを、知らない人も多いかもしれませんね。 

一方、生姜は一見温性のようですが、その辛味には疏肝・散肝の作用があり、まさに肝気の脾(運化・昇清・統血を主る)の性質に合致し、肝気を強壮して経絡の滞りを解消することができるのです。 そのため、辛味と発散作用のあるショウガ、トウガラシ、ネギを加えると、ホウレンソウの寒性を中和するだけでなく、肝気の疏泄をより強力にすることができると言われています。

ほうれん草は鉄分も豊富なので、強壮剤にもなるのです。 ホウレンソウにはクロロフィルがたっぷり含まれていますすが、実はこのクロロフィルはヘモグロビンを作る材料とほとんど同じなので、 そのため、血を補う効果が非常に高いのです。

気血の詰まりがとれると、肝は目を開き、目は気血によって養われるため、眠気や疲労感、目のかすみ、乾燥やかゆみなどが自然に解消されることになります。

この粥は、米にオート麦を加えて茹で、そこにほうれん草、牛肉や豚肉のひき肉を適量入れて煮込み、最後に溶き卵と塩、胡椒、ねぎなどの調味料を加えて作るのがコツですね。美味しくて、自己免疫を高めるお粥です。

薏仁(ハトムギ)粥:湿気を払い、痛風を取り除く

薏仁(ハトムギ)は『神農本草経』に食薬として収載されているのです。 湿度を防ぎ、浮腫を抑えるだけでなく、血糖値、血中脂質、コレステロールを下げ、美白、ダイエット効果もあるのですよ。現代の「生命を支える万能薬」と言えるかも知れません。

お粥に薏仁(薏苡仁 (よくいにん)は、 ハトムギ の 種皮 を除いた 種子 を原料にした 生薬 )を加えると、気血を潤し滋養する上に、湿気や痛風の痛みを取り除く効果が高まるので、湿気の多い現代では重宝されています。

胡乃文医師によると、薏仁にはもう一つ、体内の硬い物質を取り除く作用があるといいます。 台湾の人々は高温多湿の地域に住んでいるため、薬膳料理を使うのがとても上手で、四神湯(台湾生まれの薬膳スープ)は台湾の人々のスープ薬膳料理の一般的な材料であり、そこに薏仁を多く加えることで、尿酸やその他の老廃物を体外に排出することができると言われています。 

スープに薏仁を加えることで、尿酸などの老廃物を体外に排出することができるのですね。 これにより、日本人に多い痛風などを大幅に軽減することができるそうです。

もちろん、薏仁はもともと冷たいので、脾胃が冷えている人は中和するために生姜のスライスを数枚加えるとよいでしょう。 また、便秘がちな人は、体質に合わせて薏仁の量を調節するとよいですよ。 薏仁は水分や湿を取り除く力が強いので、摂りすぎると大腸の水分が不足して便秘になるかも知れないから注意が必要です。

上記二つの粥を食べると、腸がスムーズになり、体の老廃物が掃除され、血が補充され、気血の循環が改善して、もちろん精神も良くなるのです。 これによって、眠気や疲労感、関節の湿りの問題を解決することができるのですね。

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。