ワクチン後天性免疫不全症候群(VAIDS)に集まる注目

コロナワクチンで他の感染症に対する免疫力低下 免疫不全の懸念も

ワクチン後天性免疫不全症候群(VAIDS)が今、専門家らの注目を集めています。

このVAIDSという用語は、新型コロナワクチンの接種が開始されて以来、研究者や医療関係者が使用してきた造語で、病名として医学的に認識されているわけではありません。

しかし、一部の研究者は、新型コロナワクチンが免疫応答を弱めたり抑制したりする可能性があると考えています。

最近、ファイザー製の新型コロナウイルスのmRNAワクチンの免疫効果に関する研究が、免疫学に関する学術誌「Frontiers in Immunology」に掲載されました。研究では、VAIDSという用語は使用されていません。

研究者らは、新型コロナワクチン接種後の小児における細菌、真菌、および新型コロナウイルス以外のウイルスに対する「サイトカインおよびケモカイン反応の全体的な減少」を認めました。

論文には以下のようにあります。

「我々の研究結果は、新型コロナウイルスのmRNAワクチン接種が、他の病原体に対する免疫応答を変化させる可能性を示唆している。その病原体による疾患がワクチンで予防可能か否かは問わない」

「これは特に子供たちに関係している。なぜなら、子供たちは保育園や学校、人の集まる場で広範に病原菌にさらされており、しかもそれらの病原菌に初めて接触することが多く、さらに小児期の定期予防接種の一環として複数のワクチンを受けているからだ」

研究では、豪州メルボルンのマードック小児研究所と王立小児病院の研究者らが、ワクチン接種前と2回のファイザー製mRNAワクチン接種後の両方に、29人の小児から血液サンプルを採取しました。

その結果、ワクチン接種後の血液サンプルは、ワクチン接種前の血液サンプルと比較して、コロナ以外の病原体に対するサイトカイン反応が低いことが分かりました。この免疫応答の低下は、コロナ以外のウイルスでは特に持続しました。6か月後に採取された血液サンプルでは、B型肝炎ウイルスのウイルスタンパク質やウイルス感染を模倣するタンパク質に対する反応が依然として低い子供がいることが判明しました。 しかし、細菌に曝露された際のサイトカイン反応は増加していました。

新型コロナウイルスを構成するタンパク質(スパイクタンパク質とそのS1、S2サブユニットなど)、およびヌクレオカプシドタンパク質に対する免疫応答は、ワクチン接種後も高いままでした。

マサチューセッツ工科大学でリスク管理と医療システムを専門とするレツェフ・レヴィ教授は、この研究に関して「新型コロナワクチン接種による免疫の有害な変化を示唆する累積的なエビデンスが追加された」とX(旧Twitter)に投稿しました。 

家庭医のサイード・ハイダー氏と免疫学者で計算生物学者のジェシカ・ローズ氏は、この研究結果をVAIDSと関連付けています。

心臓血管研究の専門家で元ブラウン大学医学部教授のアンドリュー・ボストム博士は、mRNAワクチンを繰り返し注射することにより、子供がウイルス感染症と細菌感染症の両方にかかりやすくなる可能性があることを研究結果が示唆していると、エポックタイムズに電子メールで語りました。

しかし、研究がサイトカインレベルを測定することでこの結論に達したことに対し、サイトカインレベルは人の免疫応答のサロゲート(代用)マーカーに過ぎないと同氏は述べます。

追跡研究で論理的かつ批判的にその正当性が保証されるには、サイトカインレベルの低下した子供が感染症を発症するかどうかを確認する研究が必要だとボストム氏は述べました。

研究デザインへの異議

T細胞反応を専門とする免疫学者で、ポルトガルの分子医学研究所の研究室長であるマーク・フェルドホーエン氏は、この研究結果に異議を唱えました。

X上の投稿で、他の病原体に対する自然免疫応答について被験者グループと比較するための対照群(ワクチン接種を受けていない子供たちのグループ)が不足していることなど、研究の欠陥を強調しました。

「ワクチン接種を受けていない対照群、少なくとも別のワクチン対照群(特異性を主張するため)、はるかに多くの被験者、細胞組成データがなければ、(著者らの)結論は推測にすぎず、成立する可能性は低い」とフェルドホーエン氏は述べています。

他の研究がワクチン接種後の免疫力の低下を示唆

ここでは、新型コロナウイルスワクチン接種後の免疫応答の低下を示唆する多くの研究のうち1つを取り上げます。

ファイザー製のmRNAワクチンを接種した成人16人を対象としたプレプリント(査読前論文)でも、被験者が病原性真菌に曝露された際の自然免疫応答が低下したという同様の結果が得られました。 同論文では、自然免疫細胞の長期的な変化も発見されました。

1月にドイツで行われた研究によれば、mRNAワクチンを複数回接種することで、スパイクタンパク質やその他の新型コロナウイルスのタンパク質に対して形成される抗体の種類が変化すること(クラススイッチ)が発見されました。

追加接種を受けた人はIgG4抗体が増加しましたが、これによりIgGの他のサブクラス抗体よりも効果は低くなります。以前、飛天大学生物医科学部の林暁旭教授は、エポックタイムズの記事で次のように書いています。

「通常よりも多くのIgG4が発生することは不健康であり、後で本物のウイルスに遭遇した際のリスクがより高くなる。特に慢性疾患を持つ人にとって、新型コロナウイルス感染症がかなり重篤な疾患に発展する可能性がある」

「体がオオカミ少年のように新型コロナワクチンに対して十分な免疫応答を示さなくなったら、本物のウイルスがやってきたときにどうなるだろうか」

クリーブランド・クリニックインディアナ大学医学部の研究でも、新型コロナのワクチン接種を受けた人は、過去に新型コロナに感染したワクチン未接種の人よりも感染リスクが高いことが判明しました。ある査読済みの論文では、連続接種するたびに感染率が上昇することも示されました。

コンピューターサイエンスの博士号を持つマサチューセッツ工科大学の研究員ステファニー・セネフ氏が筆頭著者を務めた2022年の研究論文は、新型コロナワクチンが自然免疫抑制を引き起こす影響について論じました。この免疫抑制により、がん、神経疾患、その他の感染症に対して脆弱になる可能性があるといいます。

新型コロナワクチンの導入以来、50歳未満の人々のがんが増加しており、一部の専門家はワクチンが引き金になったことを示唆しています。ハンセン病の症例も増加しており、新型コロナワクチンとの関連が指摘されています。

マウスを対象とした査読済みの研究では、mRNAワクチンに使用されているのと同じ脂質ナノ粒子を注射されたマウスで、自然免疫応答と適応免疫応答が低下することが示されました。脂質ナノ粒子を2回投与されたマウスは、免疫応答がより持続的に抑制され、そのマウスの子孫にも免疫抑制の一部が遺伝しました。

自然免疫応答は生体防御の第一線として機能し、免疫記憶が行われる適応免疫応答は防御の最終線となります。

この論文の著者らは「我々は、mRNAを包む脂質ナノ粒子への事前曝露が自然免疫応答と適応免疫応答の両方に長期的な影響を及ぼし、これらの形質の一部は子孫に遺伝的に受け継がれることを報告する」と書いています。

同著者らはまた、「複数回の事前曝露が適応免疫応答をさらに劇的に阻害するかどうか、またマウスとヒトのデータがどの程度一致するかはまだはっきりしていない」と述べています。

ファイザー社は記事発表までにコメント要請に応じませんでした。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。