注目すべき新型コロナワクチン有害事象の数々、エビデンスで裏付け(4)

消化器障害

新型コロナワクチン接種後は、吐き気や下痢など、軽度から重度の消化器系の症状が現れることがある。

 

虫垂炎

新型コロナ後遺症の患者を対象とした研究で、スパイクタンパク質とそのRNAが虫垂に残留する可能性が示されたが、これはワクチンの有害事象にも当てはまる可能性がある。

スウェーデンの研究者らは、WHOのVigiBaseを調査した結果、虫垂炎が安全性シグナルとしなりうることを特定した。ある症例研究は、ファイザー製ワクチンが69歳の女性の虫垂炎の引き金になった可能性があるとしている。

膵炎

ワクチン接種後に発症する膵炎の説明として、臓器のACE-2受容体を介して障害が誘発され、スパイクタンパク質が結合して炎症を引き起こすということが考えられる。

新型コロナワクチン接種後すぐの急性膵炎の症例をいくつかの論文が報告している。その1つは82歳の男性の症例で、ファイザー製ワクチンの3回目接種後に突然腹痛を起こした。スキャンの結果、膵臓の脂肪が異常に減少しており、急性膵炎が示唆された。

ファイザーとモデルナの臨床試験でも、ワクチン接種者は未接種者より膵炎の発生率が高いことが示されている。

肝障害

『BMC Gastroenterology』誌に掲載されたシステマティックレビューでは、ワクチン接種後に発症した肝障害は275例確認され、そのほとんどが自己免疫作用によるものであった。

『Journal of Hepatology』誌に掲載された編集者へのレターでは、mRNAワクチン接種後5~46日で肝障害を発症した25歳から74歳の16症例について述べている。ほとんどの症例は2回目のワクチン接種後に発症している。何人かはすでに肝疾患を患っていた。

炎症性腸疾患(IBD)

炎症性腸疾患(IBD)は自己免疫疾患であり、慢性的に腸が炎症を起こして腫れている状態だ。潰瘍性大腸炎とクローン病はいずれもIBDに該当する。

新型コロナワクチン接種はIBDを引き起こすことが示されている。ワクチン接種後のIBD患者411人を追跡調査した研究によると、初回接種後、患者の約2%は炎症を経験した。ほとんどの症例はワクチン接種後1週間以内のもので、入院が必要な症例は2例、手術が必要な症例は1例だった。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS)は原因不明の慢性疾患だ。新型コロナウイルス感染症がIBSを引き起こす可能性を示唆する研究はあるが、ワクチン接種との関連を示す研究は今のところない。

ファイザーとモデルナの臨床試験で報告された重篤な有害事象の評価から、両ワクチンはIBSとIBDの両方で起こる大腸炎のリスク上昇に関連していることが示された。

免疫および自己免疫疾患

新型コロナワクチンは免疫系を活性化し、炎症性、自己免疫性、アレルギー性などの免疫関連の有害事象が、ワクチン誘発免疫反応により発現する可能性がある。

 

多系統炎症性症候群(MIS)

多系統炎症性症候群(MIS)は、小児における重篤な新型コロナウイルス感染症および免疫異常と最もよく関連している。しかし、小児と成人の両方が、研究文献や報告制度においてワクチン接種後のMISを報告している。

CDCの『Emerging Infectious Disease』誌に掲載された研究では、ファイザー製ワクチン初回接種後1週間以内にMISを発症した2人のティーンエイジャーについて論じている。別のCDCの研究では、カリフォルニア州の成人6人の症例が報告され、そのうちの3人はワクチン接種後に発症した。

リンパ球減少症

リンパ球減少症は免疫不全症の兆候であり、体内の免疫細胞の一種であるリンパ球の数が少ない場合に起こる。エポックタイムズは過去の記事でこの現象について報じている。

『Future Medicine』誌に掲載された研究で、新型コロナウイルス感染症ではスパイクタンパク質がACE-2受容体に結合し、T細胞(Tリンパ球)の減少を引き起こす可能性があることを認めた。同じことがワクチンのスパイクタンパク質でも起こる可能性があると著者らは付け加えた。

ファイザー製ワクチンに関する初期の『Nature』誌の研究では、初回投与後にリンパ球数の減少が見られた。

がん

がんは免疫不全や免疫抑制の徴候であり、人の免疫系が機能不全に陥ったときに現れる。しかし、スパイクタンパク質ががんを促進する可能性を示す研究もある。

『Translational Oncology』誌の研究では、スパイクタンパク質が腫瘍抑制遺伝子と相互作用し、そのスイッチを切る可能性を予測している。また、スパイクタンパク質は炎症性が高く、ワクチン接種によって身体の免疫防御機能低下が示されている。これらはがんリスクの上昇に関係している可能性がある。リンパ腫に関するある症例研究の著者は、当該症例に先立ち、新型コロナワクチン接種直後に8例の非ホジキンリンパ腫が発症したと論じている。

ルーマニアの研究では、ワクチン接種後1週間以内に2例のがんが診断されたと論じている。「European Journal of Cancer」誌に掲載されたレビューによると、新型コロナワクチンを接種することで、乳がん患者がリンパ節腫大を発症するリスクがあるという。イタリアの研究では、患者が2回目の接種を受けてから2日以内に転移性リンパ節が腫大した症例を報告した。

マスト細胞活性化症候群(MCAS)

マスト細胞活性化症候群(MCAS)は、免疫細胞であるマスト細胞が過敏になることで発症する。その結果、あらゆる刺激で多くの症状を伴うアレルギーのような炎症反応を引き起こす。

現在、MCASとワクチンの副反応を関連付けた研究はないが、この症候群は米国のワクチン有害事象報告システム(VAERS)や英国のイエローカード制度で報告されている。

マスト細胞活性化の専門家であるノバ・サウスイースタン大学のテオハリス・C・テオハリデス教授によるいくつかの論文では、スパイクタンパク質が体内のマスト細胞を活性化し、炎症分子の放出につながることが認められている。

過敏症またはアレルギー反応

ベイラー医科大学の臨床医がアレルギー反応に関するコメンタリーを『JAMA Pediatrics』誌に発表した。著者によれば、稀ではあるが、mRNAやJ&Jワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)でアレルギーを起こす人がいるという。その他のアレルゲンとしては、アストラゼネカ製ワクチンに含まれるラテックスとポリソルベート80が考えられる。

スパイクタンパク質がアレルギー反応を引き起こす可能性があることを示した研究もある。ある論文によれば、スパイクタンパク質にはアレルゲンとして働く可能性のある領域が含まれているという。さらに別の論文では、スパイクタンパク質を注射された新型コロナ患者51人を調査したところ、84%以上が長期にわたるアレルギー反応を起こしていた。

CDCは新型コロナワクチンによるアナフィラキシーの可能性を認めている。

生殖機能障害

新型コロナワクチン接種は、男女の生殖機能に関する懸念に関連している。

 

自然流産

VAERSのデータベースを分析した研究者らは、インフルエンザワクチンと比較した場合、新型コロナワクチンが流産、胎児死亡、胎児異常のすべての報告の増加と関連していることを発見した。

男性不妊

新型コロナワクチン接種は精液の質の低下と関連している。イスラエルの研究では、精液濃度が15.4%低下し、総運動回数が減少したことを報告した。

痛みと潰瘍

2023年6月に発表されたある研究では、ワクチン接種後に12歳から17歳のティーンエイジャーに8例の外陰部潰瘍が確認された。

ある14歳の少女は、ファイザー製ワクチンの2回目接種後5日間に、灼熱感のある膣の痛み、明らかな病変、発赤、痛みを経験した。外陰部潰瘍の既往歴がある22歳の女性は、ファイザー製ワクチンのブースター接種後2日以内に外陰部潰瘍を発症したが、抗炎症薬を投与した数週間後に徐々に回復した。

月経障害

避妊薬を服用している女性、閉経に近づいている女性、更年期の女性など、月経のない女性を調査した研究では、予期しない異常な膣からの出血が8~9か月間続く可能性があることが分かった。閉経に近づいている女性で月経を経験した人は最大14%で、閉経女性の3.3%が膣出血を経験した。

ワクチン接種を受けた月経のある女性のシステマティック・レビューでは、調査した7万8138人の女性の半数以上に何らかの月経問題があった。

内分泌障害

高血糖を含む内分泌疾患は、新型コロナワクチンの初期試験から、ワクチンの副反応として報告されている。

 

高血糖症と糖尿病

高血糖症は、血糖調節を司る臓器である膵臓がスパイクタンパク質によって損傷を受けることで起こることがある。スパイクタンパク質とACE-2受容体との相互作用は、炎症状態を促進し、血糖値の上昇と相関する傾向にある。

救急医のジョセフ・フレイマン博士が主導した研究によると、プラセボ群では1万人あたりの高血糖症発生率がゼロであったのに対し、モデルナ群では1万人あたり0.7件発生した。

2023年10月に発表された新型コロナワクチン接種後の1型および2型糖尿病に関するシステマティックレビューでは、ワクチン接種後に新たに糖尿病を発症し、重症度が上昇した症例が複数確認された。

Frontiers Endocrinology誌World Journal of Diabetes誌に掲載された論文を含む複数の研究でも、ワクチン接種後に1型および2型糖尿病患者のコントロール不良が報告されている。

甲状腺障害

甲状腺機能障害と甲状腺炎は新型コロナのスパイクタンパク質と関連がある。スパイクタンパク質は甲状腺タンパク質と共通点があるため、体がスパイクタンパク質を攻撃する際に甲状腺も攻撃する可能性がある。

2022年に『Journal of Endocrinological Investigation』誌に掲載されたレビューでは、新型コロナワクチン接種後に甲状腺障害、すなわち甲状腺炎や甲状腺機能低下症を80例以上確認した。

泌尿器・腎臓障害

スパイタンパク質は直接腎臓に障害を与えることが研究で示されている。新型コロナ患者の尿中にスパイクタンパク質が確認したことは、腎合併症を示唆している。

 

急性腎障害

スパイクタンパク質は腎臓に多く存在するACE-2受容体に結合するため、腎臓は特に脆弱だ

QJM:『 An International Journal of Medicine』誌に掲載された論文では、ワクチン接種後に急性腎障害を発症した97人が特定されている。

台湾の研究では、ワクチン接種後に急性腎臓病を発症した27人の患者を追跡調査し、うち6人は末期腎臓病まで進行した。著者らは、複数回のワクチン接種を受けた高リスクの患者では、このことがより懸念されると指摘している。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は腎障害の一種で、腎臓から尿中にタンパク質が過剰に排出されることで発症する。

マウントサイナイ大学の研究者らによる2022年のシステマティックレビューは、新型コロナ感染後またはワクチン接種後に発症したネフローゼ症候群78例を調査した。そのうち26例がワクチン接種後にネフローゼ症候群を発症している。著者らは「ネフローゼ症候群は新型コロナ感染と新型コロナワクチンの合併症の可能性があり、突然発症する浮腫や腎機能の悪化を示す患者は考慮すべきだ」と結論づけた。

『Journal of Nephrology』誌で発表した別の研究では、ワクチン接種後にネフローゼ症候群を発症した74人の患者を調査し、研究者らはその原因をACE-2受容体の活性化に求めた。

泌尿器系の合併症

ワクチン接種者は泌尿器系の有害事象も報告している。

下部尿路症状の既往がある889人の患者を追跡調査した研究によると、最大13%がワクチン接種後に蓄尿症状が悪化した。約8%が夜間頻尿、約6%が尿意切迫、約2%が失禁を報告し、5%以上の人が医療機関を受診した。

膀胱炎は、尿路感染症と同様に、この症状に関連している可能性を著者らは付け加えた。

英国の症例研究では、74歳の女性の症例が報告されている。彼女はワクチン初回接種後、泌尿器間の調整が一定せず、尿の流れが弱くなった。医師は膀胱炎を疑った。2回目の接種から1週間後、彼女は頻尿のため再び入院した。

(完)

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。