理学療法士のアレックス・リー氏は、64歳の膝の変形性関節症患者を診ました。彼女は痛みのため10分以上歩くのが困難で、膝関節のこわばりと脚の筋力低下により転倒を恐れていました。
初回のハイドロセラピー治療から約6週間後、彼女は30分以上休まず歩けるようになり、痛みが劇的に減少。脚の力も強まり、自信を持って歩けるようになりました。数年ぶりに「身体が自分に逆らうのではなく協力している」と感じたと報告しました。
60歳以上の男性の約10%、女性の約13%が膝の変形性関節症を患っており、痛みや障害を伴う状態です。
イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は一般的な治療法ですが、副作用があります。研究によると、65歳以上の患者では消化管出血のリスクが4倍、30日以内の急性腎障害のリスクが2倍以上に増加します。
膝サポーター:12の療法の中で最優秀
6月に『PLOS One』に掲載されたネットワークメタ分析では、膝の変形性関節症に対する12の理学療法を比較しました。研究者は、12の療法の中で膝装具が最良の選択肢であると結論づけ、次いで水治療法(ハイドロセラピー)と一般的な運動が効果的であるとしました。
分析の結果、膝サポーターは痛みの軽減、こわばりの緩和、機能の改善において高いスコアを示し、最も有効な介入である可能性が高いとされました。水治療法は痛みの軽減に非常に効果的で、一般的な運動は痛みの軽減と機能の向上に一貫して効果的でした。体外衝撃波療法や高出力レーザー療法には一定の利点が見られましたが、超音波療法は最も効果が低い結果でした。
研究者は、試験のサンプルサイズの小ささ、研究デザインの違い、治療期間のばらつきなどがランキングの精度に影響した可能性を認めました。しかし、理学療法は抗炎症薬のリスクを伴わずに大きな利点をもたらすと示唆しました。

トップ3の療法の詳細
リー氏は、研究で上位に挙がった3つの療法について、理学療法の専門知識をエポックタイムズに共有しました。
膝サポーター
「膝の変形性関節症に最も一般的で効果的なサポーターは、アンローダーブレースとコンプレッションスリーブです」とリー氏は述べました。
アンローダーブレースは、膝の最も影響を受けている部分から力を分散させるため、活動的で追加のサポートが必要な人に特に有用です。コンプレッションスリーブは軽量で快適に装着でき、日常活動や軽い運動時に使用でき、腫れを抑え関節をサポートします。
水治療法(ハイドロセラピー)
「膝の変形性関節症の患者さんに多く接してきましたが、私たちが提供できる最も有益な療法の一つが水治療法です」とリー氏は語ります。「温水は硬くなった筋肉をほぐし、血流を増加させ、無重力の感覚が痛む膝への圧力を取り除きます」
典型的な水治療法では、膝の曲げ伸ばし、小さなスクワット、プールでのウォーキングなどの穏やかな運動を指導します。これらの運動は、大腿四頭筋とハムストリングを強化しながら、関節を傷つけませんと説明しました。
「数週間でこわばりや痛みから解放され、動きが改善する患者さんを見てきました」とリー氏は述べました。
運動
リー氏によると、週3~5回の20分間のウォーキングは、膝の変形性関節症患者にとって簡単で効果的な低負荷の有酸素運動です。ただし、硬くて平らな地面を歩き、アーチと踵をしっかりサポートする靴を履くことを勧めています。
「痛みを我慢しないでください。膝が痛む場合は、休息や活動の変更が適切です」と彼は強調しました。
「目標は状態を悪化させることではなく、進歩を続けることです」
ウォーキングが痛みを引き起こす場合や、別の方法を希望する患者には、膝に優しいエリプティカルマシンを提案します。これはサイクリングとウォーキングの中間のような滑らかで連続的な楕円運動で脚を動かせ、多くの機器には腕を鍛えるスイングハンドルも付いています。
「関節痛のある方に最適ですが、心肺をしっかり鍛えることができます」と彼は述べました。
(翻訳編集 日比野真吾)
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