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その他

子どもの発達に魚は必要? 研究が示す脳と行動の関係

(Shutterstock)

鶏肉や牛肉などの動物性たんぱく質に比べて、アメリカの子どもたちの魚の摂取量は少ない傾向にあります。イギリスのブリストル大学の研究によると、魚に含まれる栄養素が不足すると、社会性の発達に関わる神経の成長に影響を及ぼす可能性があることがわかっています。

魚は子どもの健康に広く役立ち、初期の研究では、魚の摂取がアレルギーやクローン病の予防にもつながる可能性があると示唆されています。魚の摂取には安全性の懸念もありますが、医師やアメリカ環境保護庁(EPA)の指針に従えば、リスクを効果的に抑えることができます。
 

魚と子どもの神経発達の関係

『ヨーロッパ栄養学ジャーナル』に掲載されたこの研究は、子ども時代の魚の摂取不足が、助け合いや共有、慰めといった利他的行動の発達に悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。こうした行動は通常1〜2歳から見られ、年齢とともに発達していきます。

これまでの研究では、妊娠中の母親による魚介類の摂取が、子どもの神経発達と正の相関があることが示されてきましたが、子ども時代の魚の摂取に関する研究は少なく、今回の研究が行われました。研究者らは5969人の子どもたちの食生活データを分析し、行動と認知の関係を調査しました。行動のデータは7歳と9歳時点のアンケートから、認知機能は8歳時点で評価されました。

その結果、7歳時点で魚の摂取量が少ない子どもは、社会的な行動が不十分になるリスクが35%高まり、9歳時点ではそのリスクが45%に上昇することがわかりました。

「魚に含まれる十分な栄養素は、脳が最大限の能力を発揮するために役立ちます」と、研究の共同執筆者であるブリストル大学の栄養学准教授キャロライン・テイラー氏はエポックタイムズに語っています。「神経発達への恩恵は、特定の栄養素単体または複数の相乗効果による可能性があります」

なお、8歳時点での魚の摂取とIQとの間に有意な関連は見られませんでしたが、著者らはその理由として、IQテストが微細な認知の変化に対して十分に敏感でなかった可能性、あるいは魚に含まれる水銀などの有害物質が認知に悪影響を及ぼし、潜在的な利益を打ち消した可能性があると述べています。
 

魚に含まれる栄養素

子どもの神経発達が最良の状態で進むためには、特定の栄養素を十分に摂取することが欠かせません。魚や貝類は、オメガ3脂肪酸(DHA、EPA)の主要な供給源であり、認知機能にとって極めて重要です。

「これらの栄養素は非常に重要です」と、この研究には関与していませんが、認定小児科医のデビッド・バーガー医師はエポックタイムズに語っています。

「オメガ3には抗炎症作用があり、神経系の炎症を抑える効果があります。これは、自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの神経疾患の根本的な原因に関係しています。また、オメガ3は神経以外の炎症にも効果があり、喘息や湿疹にも良い影響を与えると考えられています」

さらに、魚にはたんぱく質、コリン、ヨウ素、セレン、ビタミンDも豊富に含まれています。コリンは、脳内で情報を伝える神経伝達物質「アセチルコリン」を合成する材料であり、認知機能において重要な役割を果たします。
 

その他のメリット

初期の研究によれば、子どもの食事に魚を取り入れることで、以下のような利点がある可能性があります。

アレルギー予防

『小児科学』誌のレビューによると、多くの研究で、妊娠中に魚を摂取することで、子どものアレルギーのリスクが低下することが示されています。これには、湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎(アレルゲンの吸入によって風邪に似た症状が出るもの)などが含まれます。また、一部の研究では、乳児期(例:9か月以前)に魚を食事に取り入れることで、アレルギーの予防につながる可能性があると報告されています。

IQの向上

イギリスの研究では魚がIQに明確な影響を与えるとはされませんでしたが、初期のいくつかの研究では、魚を取り入れた食事が好影響をもたらすことが示唆されています。『小児科学』誌のレビューでは、週に3回魚を食べている幼児のIQが、牛肉、鶏肉、羊肉を食べる子どもよりも高かったという研究が紹介されています。また、妊婦が週あたりの魚の摂取量が340グラム未満であった場合、子どもの言語IQが低くなる傾向があるという研究もあります。

クローン病の予防

『胃腸病学』誌の研究では、オメガ6とオメガ3脂肪酸の比率が、クローン病の潜在的な原因になりうるかを検討しました。オメガ3は主に魚介類から、オメガ6はスナック菓子やファストフードなどの不健康な食品、あるいはクルミのような健康食品から摂取されます。

この研究では、最近クローン病と診断された182人の子どもと、250人の対照群の子どもの食事データを比較しました。その結果、オメガ6とオメガ3の比率が高く(すなわち魚の摂取が少なく)特定の脂肪酸代謝に関連する遺伝子変異を持つ子どもは、クローン病を発症しやすいことがわかりました。魚の摂取を増やすことで、この比率を下げることができます。
 

魚に関する健康リスク

以下は注意が必要な健康リスクです。

水銀

『小児科学』誌のレビューによると、魚に関する主な健康リスクは水銀汚染にあります。妊娠中および出産後の水銀への曝露は、子どもの注意力、IQ、記憶力、言語能力、視覚運動スキルに悪影響を及ぼす可能性があります。

とはいえ、魚の摂取量が推奨範囲内であれば、一般的には利益がリスクを上回ります。アメリカ環境保護庁(EPA)は「最良の選択肢」「良い選択肢」、そして「避けるべき魚種」のリストを公表しており、子どもには週に2回「最良の選択肢」に該当する魚(タラ、ヒラメ、ホッケ、サケ、ティラピア、缶詰のライトツナなど)を食べることが推奨されています。

魚は年齢を重ねるほど体内に水銀が蓄積される傾向があるため、特に注意が必要です。

医師のバーガー氏は、養殖されたサーモンよりも、汚染が少ないとされる天然のサーモンを選ぶよう勧めています。

残留性有機汚染物質(POPs)

同じく『小児科学』誌のレビューでは、水銀に加えて、魚が残留性有機汚染物質(POPs)を含む可能性があることも指摘されています。これにはポリ塩化ビフェニル(PCB)やダイオキシンなど、体内で分解されにくい有害な化学物質が含まれます。

ポリ塩化ビフェニル(PCBs)

胎児や乳幼児に悪影響を及ぼす恐れがあり、免疫機能の低下、低出生体重、肥満、喘息、特定の白血病との関連が示唆されています。

ダイオキシン

極めて毒性が強く、がんや免疫障害、発達や生殖への影響が報告されています。

POPsは脂溶性であるため、脂肪分の多い魚やその脂肪組織に多く蓄積されます。皮を取り除いて食べることで、これらの毒素をある程度減らすことができます。ただし、水銀は筋肉のたんぱく質に蓄積されるため、皮を取っても除去できません。

魚介類による中毒

魚や貝類(特にハマグリ、ホタテ、ムール貝、カキなどの二枚貝)は、藻類が作る毒素に汚染されることがあります。これにより、神経毒性、下痢性、麻痺性の貝毒など、深刻な病気を引き起こすことがあります。これらの毒素は加熱しても無害化できません。

生魚

生魚や貝類(寿司などに使用されるもの)は、食中毒のリスクが高く、子どもの食事にいつ取り入れるべきかについては、現在明確な基準が定められていません。
 

子どもにおすすめの魚料理

魚をあまり食べ慣れていない子どもは敬遠することもありますが、親子で楽しめるメニュー、例えばフィッシュタコスやハンバーガーなどは、子どもの興味を引きやすいかもしれません。登録栄養士でフードサイエンティストでもある「Foodess Creative Inc.」のレシピ開発者ジェニファー・パリアン氏と、「Flawless Bloom」の登録栄養士シェリー・ボールズ氏がエポックタイムズに紹介したレシピを紹介します。

サーモンバーガー

  1. サーモンを焼くか炒め、ほぐれやすくなるまで加熱する
     
  2. 塩、少量のチリパウダー、少しのクミンで味付け
     
  3. 魚をほぐして成形し、バーガーの形にする
     
  4. カリッとした食感が好みの子供には、バンズを軽く焼く
     
  5. マヨネーズ入りコールスロー、またはやや甘めのコールスローを添える
     
  6. 子どもが持ちやすいように、バーガーを半分や四分の一にカット

付け合わせにさつまいもフライ、にんじんスティック、リンゴスライスなどを

フィッシュタコス

  1. タラやティラピアなど、クセのない白身魚を焼いてほぐれるまで加熱
     
  2. 魚を小さくほぐして、見た目の「魚っぽさ」を抑えることで食べやすくする
     
  3. パプリカパウダー(辛くないタイプ)、ガーリックパウダー、クミンで味付け
     
  4. 温めたソフトコーントルティーヤに魚をのせ、さっぱりしたコールスローを添える
     
  5. フルーツを添えれば、さらに親しみやすい一品に

フィッシュケーキ

  1. タラ、アラスカ産タラ、缶詰のサーモンやツナなど、風味が穏やかな魚を使用
     
  2. 魚をマッシュポテトとよく混ぜ、大きなかたまりが残らないようにする(偏食の子への配慮)
     
  3. 小さなケーキ状にして、表面がカリッとするまで焼く
     
  4. 少量の塩、コショウ、ガーリックパウダーなどでシンプルに味付け
     
  5. ヨーグルトやケチャップをディップとして添える
     
  6. 蒸し野菜やエアフライヤーで調理した野菜、お好みの果物と一緒に

フィッシュサンドイッチ

  1. 缶詰のツナやサーモンは手軽なランチに便利
     
  2. 缶詰の魚を取り出し、アボカドやマヨネーズと混ぜる
     
  3. みじん切りのセロリ、黒コショウ、少量の塩を加える
     
  4. 全粒粉パンに塗ってサンドイッチに
     
  5. りんご、洋梨、ベリー類などの果物を添えるとよりバランスの良い食事に

焼きサーモン

  1. サーモンにオリーブオイルを軽く塗り、好みのハーブで味付け
     
  2. 190度で、中心温度が約63度に達するまで焼く
     
  3. ローストポテトのくし切り、ご飯、いんげんなどの非でんぷん野菜と組み合わせて

ヒラメのラザニア

  1. ヒラメはやや高価ですが、ホワイトソースを使ったラザニアに最適です。全粒粉のラザニアシートを使えば栄養価もアップ
     
  2. ヒラメを好みの方法で加熱してから、小さくほぐす
     
  3. ホワイトソースベースのラザニアレシピで、肉や野菜の代わりに魚を使う
     
  4. 炒めたズッキーニなどの非でんぷん野菜と一緒に提供

(翻訳編集 華山律)

Mary West
フリーランスライター。ルイジアナ大学モンロー校で2つの理学士号を取得。