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講演する何清漣氏(大紀元)

何清漣:中国の経済危機、五輪前に露呈

 【大紀元日本11月3日】米国金融危機が発生して以来、中国当局から、中国の経済危機の起因を米国金融危機に帰する声が多く聞こえる。これについて、米国在住の中国人経済学者・何清漣氏は、先月ニューヨークで開かれた「世界金融危機と中国の政治経済の発展セミナー」で、中国経済危機は、金融危機が発生する前からすでに起きていたと示した。今回の米国金融危機と異なり、中国の経済危機は不動産、株式市場などの金融関連領域だけにとどまらず、実体経済にも発生している。米国の金融危機が中国に与える影響は、中国の外貨準備高を減少させるくらいであるという。また、海外の中国製商品への需要が中国経済の6割を支えている中国にとっては、相次ぐ食品汚染問題及び金融危機問題により、今後は中国製商品の需要が減り、中国経済の衰退は避けられないという。

 何清漣氏の講演の概要は次の通り。

中国経済の危機は、五輪開催前にすでに露呈

 米国金融危機が発生する一年前から中国経済の衰退は露呈していた。今回の米国金融危機と異なり、中国の経済危機は不動産、株式市場などの金融関連にとどまらず、実体経済でも発生している。

 中国の経済危機は2007年後半から兆しが現れていたが、五輪成功のため、中国政府は五輪効果を大いに宣伝してきた。しかし、物価の上昇、株価の下落と不動産市場バブルの崩壊とともに、国民は経済の後退に気がついた。特に最近の粉ミルク事件で国民の中央政府への怒りを制御できなくなるという恐れがあった。中国は慌てて神舟7号宇宙船を発射したが、その宇宙空間の船外作業は水中での撮影であることが見破られ、これら一連の危機を転嫁しようとしたところで米国に金融危機が発生した。中国は現在国内におきている経済衰退の諸現象を何もかも米国金融危機の影響であると宣伝している。

 実は2008年に入ってから、中国経済の衰退は露呈していた。五輪開催5ヶ月前の3月13日に中国の株式市場の終値は3971ポイントまで大幅に下がり、たった1日で7千億元が蒸発した。その後、株価が下降線をたどり、今でも好転する兆しが見えない。ゆえに中国株価の大幅下落は米国金融市場とまったく関係がない。

 五輪の成功を最優先する中国政府は、投資者に自信を持たせるために、五輪の経済効果を過大宣伝していた。五輪の経済効果とその後の波及効果は今年になっても現れていたが、実は07年後半からの五輪関連の経済効果、特に不動産市場に現れた経済効果は単なる宣伝と投機がもたらしてきたバブルに過ぎなかったのである。

 一方、情報統制された中国国内の民衆は、中央政府の五輪宣伝に惑わされていたが、海外の投資者は中国バブルの崩壊を懸念していたため、今年から中国への投資を控えるようになった。

 不動産業界から見ても、海外投機家の参与によって、中国の不動産市場は05年後半からすでにバブル状態に入っていた。五輪への執念と寄与でこのバブルは07年10月にピークをむかえたが、この時点から深セン、北京、上海、広州などの住宅価格は下落し始め、深センの減少幅が最も大きく、おおよそ20~40%となっていた。

中国の実体経済にも危機が存在

 中国の実体経済にも危機が存在しており、中国が世界の工場と言われているが、実は東南アジア諸国はすべて世界の工場となっており、中国はこの大工場の中で大きな部分を占めているに過ぎない。しかも中国製商品は技術開発の占める割合が極めて低い、改革開放後30年経ったが、中国の加工業は依然として労働密集型産業である。産業構造はほとんど改善されていない。また、過去20年の中国経済の高度成長期に最も成長した業界は不動産業と資源開発関連産業である。不動産業の資産はほとんど投機売買で積み重ねられたが、本当の資産とは言えず、いったんバブルが崩壊したら、この資産の実質は大幅に縮まるに違いない。同様に金融業界においても不良債権率が2006年にすでに20%を超えている。中国国有銀行を米国株市場に上場させようとして、大量の資金をこれらの銀行に注入したが、2007年になると、中国国有銀行の不良債権率は8・05%まで激減し、世界金融業界を驚かした。しかし、この不良債権率の減少は経営状況を改善した結果ではなく、単なる総資産額を増やしただけでもたらしてきたものである。

 資源開発関連産業は確かに過去20年間に大きな富を生み出したが、中国生態環境への破壊は回復不可能とされるまでに進んでいる。

中国各地の企業倒産は、世界に広がる中国商品による被害に由来

 また、現在中国経済が倒産のうねりに直面している。特に紡績、玩具、製革などの業界において中国商品による被害が全世界に広がるにつれ、米国国家基準学会は玩具に対して新しい対策を打ち出した。まず検査頻度を増やすことで中国製玩具のコストを25%増した。これからより多くの加工企業が倒産していくであろう。

金融危機が中国に与える影響は中国の外貨準備高が減少する程度

 中国のバブル経済とともにインフレが加速した。2007年に食品価格によるインフレに連動して、ほかの商品価格を上昇させた。2007年4月からコスト上昇型インフレに変わり、特に原油価格の上昇により、インフレがさらに深刻となった。これらすべては米国金融危機で引き起こされたものだと中国は言いふらしているが、実は全く関連性はない。米国の金融危機が中国に与える影響は、中国の外貨準備高の額を減少させることに過ぎない。なぜなら、中国の外貨準備高はほとんどが米国の国債や、不動産関連機構の債権を買ったからである。特に今回の金融危機で中国が購入した不動産関連機構債権の95%の価値が失われた。CNNが金融危機に関して温家宝首相を取材した際、温首相は「米国とともに難関を乗り越える」と言った。その発言から、金融危機の中国の輸出業界と中国の外貨準備高への影響がどれほど深刻であるかがわかるであろう。

 周知のように中国経済がすでに外資依存型となっており、しかも外国需要依存型となっている。中共が国内需要を拡大したい願望があるが、無理だ。なぜなら、中国国内購買力はきわめて低いからだ。海外の中国製商品への需要が中国経済の6割を支えている。しかも、食品汚染など、有害物質を含む中国製商品による被害が世界でさらに拡大すると思われることから、その需要は減る一方だ。中国経済の衰退はもう避けられない。絶体絶命状態に陥った中国はこれから国内の民衆への情報統制を強化するだろう。

 (08/11/03 16:57)  





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