「驚くべき」新研究によると、飽和脂肪の多い加工食品を続けて数回食べるだけで、体重増加などの目に見える変化が現れる前に、身体の内部で「無言の」炎症が起こることが明らかになりました。しかし良いニュースとして、この状態は他の食品を選ぶことで変えられる可能性があります。
イギリスの『デイリー・テレグラフ』の報道によれば、メルボルンのウォルター・アンド・エリザ・ホール医学研究所(WEHI)の科学者たちは、飽和脂肪を多く含む食事を短期間続けるだけで、以前は気づかれなかった腸内の炎症が蓄積し、将来的に慢性炎症性疾患につながる可能性があると考えています。
飽和脂肪(動物性脂肪、パーム油、一般的な高度加工食品に含まれる)が健康的ではないと考えられてきたこと自体は新しくありませんが、研究者たちは数回の食事だけで腸内に微細な変化が起こることに驚いたといいます。
WEHIの研究室責任者スティーブン・ナット教授は、腸は健康を維持するために微生物の繊細なバランスを保つ必要がありますが、高脂肪食がそのバランスを崩してしまうと述べています。「この変化は非常に早く起こり、本人が気づく前にすでに進行しています」
研究報告のシニア著者シリル・セレ氏は、臨床前研究で「私たちが食べるすべての食事が腸の健康に影響を与えている」ことが示されたと語りました。
「摂取する飽和脂肪が多いほど炎症は強くなります」と述べ、「しかし、この炎症の蓄積は最初は無言で体内に潜み、数年後に慢性炎症として現れる可能性があります」と続けています。
オーストラリアでは約3分の1の人が、炎症性腸疾患、セリアック病、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患を抱えていますが、炎症がどのように発生し病気につながるのかは、まだ多くが明らかになっていません。
この研究はCell Press社の雑誌『イミュニティ』に発表され、短期間の高脂肪食への曝露によってマウスに炎症が起こり、抗炎症能力が低下することが示されました。
セレ氏は、マウスの試験結果は人間にも当てはまる可能性が高いと述べています。なぜならマウスと人間の細胞の両方を使った実験で、どちらも飽和脂肪酸に対して似た反応を示したからです。
さらに彼は、今回の結果は「1〜2回高脂肪の食事をしただけで炎症が起こる」という意味ではないと強調しました。研究チームが測定したのは、高脂肪・加工食品を続けて摂取した場合の影響であるとしています。
前向きなニュースとして、数日間続けてナッツやアボカドのような不飽和脂肪を豊富に含む食品を食べると、体内で良い方向への「隠れた」変化が起こり、抗炎症能力が高まる可能性があるとされています。
ナット教授は、この研究結果が食事ガイドラインにも反映され、人々が飽和脂肪を減らし、不飽和脂肪を増やすよう促されることを期待していると述べました。
彼は、人々に加工食品を減らし、自分で料理をして、調理には不飽和脂肪を使うよう勧めています。それが飽和脂肪の摂取を抑える簡単で直接的な方法だと考えているためです。
(翻訳編集 井田千景)
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