もし、何十年にもわたる便秘に関する医療アドバイスが十分な根拠に基づいていなかったとしたらどうでしょうか。
75件以上の臨床試験を分析した研究者たちは、標準的な高繊維食の推奨を強く支持する証拠は限られていると報告していますが、その一方で、より効果が期待できる6つの選択肢を特定しました。
慢性便秘に対する初の科学的根拠に基づく食事ガイドラインとして、ロンドン・キングス・カレッジの研究者たちは、酸化マグネシウム、ミネラルウォーター、サイリウム(オオバコ)を強く推奨しています。一方で、イヌリン混合物や一般的な高繊維食の一律の摂取については推奨していません。
キウイフルーツ、ライ麦パン、プロバイオティクスなどの食品については、限定的ながら一定の推奨が示されました。
「食事の変更によってこの状態を改善できれば、人々は症状をより主体的に管理でき、生活の質の向上にもつながるでしょう」と、研究の主著者でロンドン・キングス・カレッジの栄養科学リーダーであるエイリニ・ディミディ氏は声明で述べました。
10月に『Journal of Human Nutrition & Dietetics』および『Neurogastroenterology & Motility』に掲載されたこのガイドラインは、イギリス栄養士協会の支持を受けており、4つの科学的根拠に基づく選択肢を強調することで、医師や看護師、栄養士による便秘管理のあり方を見直すことを目指しています。
実際に効果が期待できるもの
研究者たちは、高繊維食そのものに強い臨床的利益を示す証拠は多くないと結論づけました。多くの研究は繊維サプリメントに焦点を当てており、高繊維食の効果を検証したランダム化比較試験は1件しか見つからず、低繊維食と比べて有意な改善は確認されませんでした。
一方で、サイリウムのような特定の繊維サプリメントは、便秘症状全体の改善と関連していました。臨床試験では、サイリウムが便の硬さや頻度を改善し、排便時のいきみを軽減する可能性が示されています。
さらに、新ガイドラインでは、繊維とは異なる作用機序で働くいくつかの食品や飲料にも注目しています。
酸化マグネシウム
酸化マグネシウムは浸透圧性下剤として知られ、腸内の水分量を増やすことで便を柔らかくし、排便を促します。成人への目安としては、1日 2g を3回に分けて、食事の前後に摂取する方法が示されています。
高ミネラル含有水
マグネシウムや重炭酸塩を多く含むミネラルウォーターは、腸内に水を引き込み、便を柔らかくする働きが期待されています。通過をスムーズにし、比較的取り入れやすい選択肢とされています。
ガイドラインでは、効果を確認するために2~6週間、1日2~6カップの摂取が推奨されています。
プロバイオティクス
プロバイオティクス全体では便の頻度の増加がみられましたが、便の硬さへの明確な改善は確認されませんでした。菌株によって効果が異なる可能性があるため、現時点では部分的な推奨にとどまっています。
プロバイオティクスは腸内に有益な細菌を補い、腸内環境のバランスを整えることで、排便をサポートすると考えられています。
キウイフルーツ
証拠の質が限定的であるため部分的な推奨となっていますが、キウイフルーツが排便の改善に関連する可能性が示されています。サイリウムと比較すると便の頻度の改善でやや優位でしたが、全体的な効果は類似していました。
キウイフルーツにはアクチニジンという酵素が含まれ、タンパク質の分解を助けるとともに、腸の動きをサポートすると考えられています。また、マグネシウムも含まれており、腸の筋肉の働きに関与する可能性があります。
8月に『Journal of Gastroenterology and Hepatology』に掲載された別の研究では、キウイフルーツ抽出物が便秘型過敏性腸症候群の患者において、排便頻度や便の硬さの改善と関連する可能性が示唆されています。
ライ麦パン
ライ麦パンはプレバイオティクスとして働き、腸内の有益な細菌を育てると考えられています。腸内細菌が繊維を発酵させることで、排便を促す短鎖脂肪酸が生成されます。ガイドラインでは、少なくとも3週間、1日6~8枚の摂取が提案されています。
ただし、排便の促進効果がみられる一方で、胃腸症状の悪化が報告されたケースもあるため、部分的な推奨にとどまりました。
「ライ麦パンにはかさを増す繊維が含まれているため、より形の整った便が得られる可能性があります」と、Nutrition in Motion, LLCのホリスティックスポーツ栄養・摂食障害回復コーチで本研究に関与していないジョアンナ・チョドロフスカ氏はエポックタイムズに語りました。ただし、十分な水分摂取が伴わない場合、かえって便秘を悪化させる可能性があると注意を促しています。
大きな健康負担
便秘は世界中で多くの人に影響を与え、生活の質を低下させ、医療システムにも負担をかけています。これまでの臨床アドバイスは主に繊維と水分の摂取増加に焦点を当ててきましたが、こうした一般的な推奨を強く裏づける証拠は限定的でした。
新ガイドラインは75件以上の臨床試験を対象とした厳格な系統的レビューとメタアナリシスに基づいており、医師には便の頻度や硬さ、いきみなどの個々の症状を考慮した上でアドバイスすることを勧めています。
「この研究は便秘治療の考え方に意味のある変化をもたらすものです。具体的な食品と具体的なエビデンスが結びついているからです」と、Ascendant New Yorkの最高医療顧問で本研究に関与していないマイケル・ジェノヴェーゼ博士はエポックタイムズに語りました。
移行の仕方
ジェノヴェーゼ氏は、すでに繊維サプリメントや高繊維食を実践している人は、新しい推奨を徐々に取り入れることができると述べています。
「すでに繊維サプリメントを使用している、または高繊維食を実践している人は、週に数回、1~2個のキウイをライ麦パンとともに徐々に取り入れるとよいでしょう」と述べています。
また、マグネシウムを多く含むミネラルウォーターを日常的に取り入れることも提案していますが、「摂りすぎや副作用(ガス、腹部膨満、下痢など)に注意することが重要です」と付け加えました。
「目標は粉末や錠剤だけに頼るのではなく、より食品ベースの選択肢へと移行することです」と述べています。
研究者たちは、これらの推奨は現時点で入手可能な研究に基づいており、今後の研究結果によって見直される可能性があるとしています。
「私たちの発見は有望ですが、これらの戦略をさらに検証し、より個別化された食事指導を確立するためには、より厳密な試験が必要です」とディミディ氏は述べています。
(翻訳編集 日比野真吾)
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