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【民間説話】一念の差が半生の修行を台無しにする
作者:沈晴嵐
【大紀元日本4月18日】清朝の末期、王居士という修行者がいて、もう五十を過ぎたというのに妻子ももうけず、家には財産なく、その日暮らしで、ついには川の辺に藁葺き小屋を掘っ立て、簡単なベッドを作り、机と竈を設け、これで一安心だとばかりに、仏典の研究と修道に励み、そして時はゆっくりと流れ、早十数年が経った。
ある日の午後、大きな雷とともに雨が降ってきて、可愛らしい少女が物腰も柔らかく、体についた水滴を拭いながら、王居士の家に入ってきて言った。「老先生、少しの間雨宿りをさせてください。雨が止んだら、行きますから。いいですか」。
「構わないよ。さあ座りなさい!」と、王居士は言った。
しかし、雨はますます激しくなってきて、止む様子もない。空も次第に暗くなってきた。少女は言った。「老先生、雨がこんなにも激しくなって、私は帰る方法がなくなってしまいました。今日はすみませんが、一晩とめてもらえないでしょうか。明日、雨が上がったら行きますから」。
王居士が難色を示して言った。「娘さん、見てのとおり、家は一間で、そのうえ狭い。しかも寝台が一つしかないのに、あんたを泊めたら、わしはどこで寝ればいいのかね?」。
少女は言った。「関係ありません。寝台は一つしかありませんが、お互いに背中合わせに寝ればいいじゃありませんか。明日になったら、私は出て行きますから。ましてや、あなたは修行者なのだから、慈悲が内にあるはずでしょう!」
「よし、わかった」と王居士は言った。
屋内には灯りはなく、日が暮れると、二人は同じ寝台で眠った。
一晩経って、二人には何事もなく無事であった。翌日、雨はあがり、日が照りつけ、少女は老先生の慈悲にいたく感激し、慇懃に礼を述べて立ち去ろうとした。
「娘さん、待ちなさい。顔を洗ってから行きなさい!」と王居士が言った。
少女はすぐに老先生の好意に従った。そして顔を洗った際、指輪をはずして机の上に置き、顔を洗い終えるとすぐに王居士に礼を言ってその場を離れた。その後、王居士が整理整頓をしていた際、机の上に指輪を発見した。彼は思った。「私は修行者だ。こんなものを盗ってはいけない。しかし…あの娘は金持ちのようだ。指輪の一つや二つ亡くしたってどうってことない。それに比べて、私の姪っ子は貧しく、金銭的な援助を求めている。だから返すことはないや」。
彼がそう心に決めた時、少女が指輪を探しに戻ってきた。しかし、王居士は頑なに認めず、少女に指輪を返そうとはしなかった。
すると少女は忽然と姿を消し、壁に数個の字が浮き上がってきた。「王居士は、財を貪り、色を貪らず。さらに二十年修めよ」。
元来、この娘はただの人間ではなく、観世音菩薩の化身であった。彼女は、王居士の修行の成果を試しにこの世に来たのであった。
一念の差で積んだ功を無駄にし、大半の修行を台無しにしてしまったために、王居士は大変に後悔した。
人生の境遇の中で、さまざまな試しに遭うが、これは天がわれわれに下した試練であり、その真心と根基を測っているものである。
私たちは多少の挫折や横暴に遭おうとも、その全てに信念をもってあたれば、経験を積み智慧を磨く機会とすることができ、そうすることにより歴史的開鍵の時期には、全力を尽くしてこれを解決するものである。
(翻訳=佐門)
(09/04/18 22:14)
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