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地震後のハイチ首都、ポルトープランス(AFP)

地震ではなく、建物が死者を生む=チリ、ハイチ、四川大地震を見る

 【大紀元日本3月17日】

 チリ地震、マグニチュード8・8、死者802人。

 ハイチ地震、マグニチュード7・0、判明できた死者23万人。

 四川大地震、マグニチュード8・0、公表された死者8万人。

 地震対策関係者の間では、「地震ではなく、建物が死者を生む」という言葉がしばしば強調されるらしい。これを裏付ける形となったのは、近年発生した3つの大地震、チリ、ハイチ、四川大地震である。

 チリは世界有数の地震国として積み重ねてきた地震対策が、M8・8の中で大きな効果を発揮した結果となったが、耐震基準のないハイチでは死者23万人という最悪な結末を迎え、さらに、耐震基準はあるものの、守られていない「おから工事」による死者8万人の四川大地震も記憶に新しい。地震は国境により、人々の運命が分かれる瞬間となった。

 チリ:耐震建築が人命を救う

 
M8・8の大地震が発生したチリ。建物は倒壊を免れた。(AFP)

チリは世界有数の地震国で、かつて1960年、M9・5という世界の観測史上最大の揺れを経験した国として、厳格な耐震基準が定められ、優秀な耐震免震技術の専門家と地震学者が輩出する国となった。

 建築系NPO「人のための建築(Architecture for Humanity)」のキャメロン・シンクレア(Cameron Sinclair)氏によると、チリで低収入層向け住宅の建設に携わった時は、コストを抑えるものの、建物の耐震能力を重視する設計をしており、すべての建物は耐震基準をクリアしなければならなかったという。

 もちろん、震源の深さや震源地の位置の違いなども被害の大きさを左右するが、チリ地震では、建物の耐震性能が大きく物を言う結果となった。

 ハイチ:倒れた建物が命を奪う

 建築の耐震基準もない貧困国のハイチでは、鉄筋コンクリートに使う鉄筋が少なく、またレンガを積み上げただけの物も珍しくない。「ずさんな建築材料、立ち遅れる建築基準は巨大な死傷者数を生み出した理由だ」とコロンビア大学の地震専門家が指摘する。

 「人のための建築」のシンクレア氏は、「チリでは少しの欠損で済んだ建物が、ハイチでは、がれきと化した」と両国の違いを指摘した。

  四川:「おから工事」が子供達の未来を絶つ

 
周辺の建物がしっかり立っているなか、粉々になった中学校(AFP)

チリとハイチの地震での被害は均一的なものに対し、中国・四川大地震では多くの学校が倒壊していた。設計図通りの鉄筋がコンクリートに入っていなかったり、コンクリートも強度の低い物が使われたり、ひどい手抜き工事、「おから工事」とも呼ばれるものが多くの死者、特に子供の死者を生んだと判明された。

 「政府が使用する建物はしっかりしているが、学校や民衆のための建物では手抜きばかりだ」という指摘は被災地の写真からもその様子が窺える。実際、四川大地震では1万軒の学校が激しく損傷し、7千軒が全壊したと香港ユニセフ協会が発表している。

 震災で千人近い犠牲者を出した北川中学校の被災者家族が、校舎の設計図を入手し、被災現場のがれきを採集し検証した結果、鉄筋が設計図に示されているサイズより直径の小さい物が使われており、また鉄筋数も設計図通りに入っていないことが判明したが、当局は未だ校舎建設の真実追究を拒み、子供を失った家族の裁判要求を妨害している。

 人が地震で倒壊した建物の下敷きとなり、命が奪われる。そして、本来なら倒れるはずのない建物を建てたのもまた人間である。ハイチのように、貧困と無知で脆弱な建物を建ててしまった人間と、中国の一部の業者とその背後にいる権力者のように知識があるのに、自分の懐を肥やすために手抜き工事をして建てた人間もいる。過ちを正さなければ、悲劇がまた起こる。

(翻訳編集・心明)


 (10/03/17 05:00)  





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