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中国 世銀を上回る発展途上国向け借款の狙いは

 【大紀元日本1月21日】2009~2010年の中国政府系の国家開発銀行と中国輸出入銀行の2銀による発展途上国向け融資額が、同期の世銀が供与した発展途上国向け融資額を超えたことが、18日付の英フィナンシャル・タイムズの報道で明らかになった。巨額の資金を投じて世界に勢力を伸ばすという中国の戦略的動きが注目されている。

 中国企業の経済権益拡大の推進

 過去2年間は、世界的金融危機のため、資産圧縮が迫られた各国の民間金融機関による貸し渋りが顕著化した時期である。中国はその隙を突いて、潤沢な外貨準備を武器にエネルギー輸出国に積極的に融資を行い、自国のエネルギー企業の経済的権益の拡大を推進することに功を奏した、とフィナンシャル・タイムズは報じた。これは、中国の欧米輸出市場への経済的依存を縮小しようとする広範な努力の一環でもある。

 これまでに締結された契約には、ロシアやベネズエラ、ブラジルと提携した融資の見返りに石油の輸入取引が挙げられる。また、融資との引き換えにインド企業に発電設備の売り込んでおり、ガーナやアルゼンチンでは、施工を中国が請負うという条件で、中国はインフラ建設に融資している。いずれも自らの権益を拡張させる戦略が窺える。

 中国社会科学院金融研究所の易憲容・副所長は、世銀による借款は一般的には援助的性格を持つものが多いが、これに対し、中国の政府系2銀による借款は商業的借款で、両者の借款は性格上異なっていると分析している。また、中国が2兆ドルを超える外貨準備の7割をドルで保有してことで、ドル安による外貨準備の目減りを防ぐために発展途上国への融資額を急増させたとの見方に対して、易憲容氏は、ドル安は短期的なものであり、長期的に見れば、ドル高へ向かう趨勢が予想でき、2銀による融資はやはり利回りの良い融資先へ向けていると反論している。

 経済権益の拡大よりも政治的意図が突出した融資

 一方、北京大学経済学院の夏業良教授は、近年の中国政府のアフリカ向けの支援は明確な政治的戦略目標を持っていると分析する。表面上は、中国・アフリカ関係を発展させ、発展途上国の貧困状況を改善させようとしているが、実のところ、経済援助を行うことで、中国主導の理念を推し進め、より多くの発展途上国からの支持を得ようとする政治上の意図は極めて顕著である。

 これらの借款には当然、エネルギー資源や企業の経済的利益拡大を確保する狙いがあることは夏教授は認める一方、「経済上の収益はそれほど大きくない」とも指摘する。特に一部のアフリカ国家の信用リスクは大きく、違約率も高いため、経済的利益の確保という観点に限って言えば、これらの国を対象とする融資を特に重視するインセンティブは存在しないと夏教授は分析している。

 世銀も狙いの範疇か

 フィナンシャル・タイムズによると、中国政府が支援する案件では、世銀よりも優遇された融資条件を提供しているという。さらに、世銀は中国との借款提供の競争が過熱化しないよう、中国政府と協力する方策を探っていると同紙が伝えた。実際、2008年2月、中国を代表する経済学者である北京大学の林毅夫教授が、世銀の上級副総裁と同主任エコノミストに起用されている。同氏はこのポストに就く最初の欧米以外の出身者となる。世界経済における中国の地位の向上を鑑みると、世銀の協力姿勢には、同氏の影響力が多大にあると考えられる。

(翻訳編集・林語凡)


 (11/01/21 10:35)  





■キーワード
対外借款  発展途上国  資源戦略  経済権益  


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