THE EPOCH TIMES

<赤龍解体記>(12) 軍内タカ派も翼を折られる

2011年05月02日 06時41分
 【大紀元日本5月2日】世界情勢が激変し、中共の内部闘争や分裂が表面化している今、軍隊の立場と役割が中国の未来を左右するもっとも重要な要素となっている。それゆえ、「安定」を最大の政治目標とする中共指導部にとって、民間人より軍隊の乱れを未然に防ぐのが最大かつ最重要の課題となっている。

 ■軍内の改革派、責任を追及される

 中共の軍内にも軍隊の国家化や自由民主を主張する人、いわば軍内ハト派がかなりおり、その声と影響は国内外の情勢の変化に伴い次第に拡大している。そのため、彼らも当然ながら監視、管制の対象とされるのである。中国国防大学名誉教授で「軍内改革派旗手」とされる辛子陵氏がその一人である。

 3月25日、辛氏は要請を受けて南昌大学で公演を行う予定であったが、北京からの電話命令により、この公演は取り消された。辛氏は29日、北京に帰ったが、中共北京市紀律検査委員会のある常務委員が上の命令により彼を呼び出し、彼の言論が党の原則に違反するなどと厳重注意した。

 2月11日、中国科学技術省の19名の古参幹部の要請を受け、辛氏は座談会で「情勢と前途」と題する談話を発表した。この談話で、彼は政治改革を主張する温家宝首相を倒さないよう、胡錦涛総書記に呼びかけた。

 「昨年8月以来、温家宝首相は7回も政治改革に言及したが、胡錦涛は支持しなかった。これは胡錦涛の大きな過失だった。つまり胡錦涛は権力利益集団と連携して温家宝を倒してはならないのだ。最近、中共宣伝部のある副部長は温家宝はトラブルの製造者だと言っているが、これは温家宝を倒す兆しのようだ。もし、温家宝がやられれば、トップとしての胡錦涛はいかにしても第一の責任者となってしまい、国民はあなたを権力利益集団の代表と見なし、しかも温家宝を守り胡錦涛に反対する国民運動につながるのだ」

 辛氏は、昨年10月15日に、李鋭、胡績偉、李普など中共の著名な古参幹部や著名学者ら23名の連名で「憲法第35条を実行し、言論出版の自由を実現せよ――全人代常務委員会への公開状」を発表した。

 この動きに対し、中共指導部の左派は憤り、人民日報で鄭青原(ペンネームから中共政治局の執筆班と思われる)の評論を続けて5本掲載し、その自由化を批判した。

 それと同時に、警察は公開状に署名した500名の署名者の身分などを調査し、その背後にある「指導者」を絞りだそうとした。そして、ある政治局常務委員は、本件を中共転覆活動と定めようとしたが、反対されて実行できなかったという。

 辛氏を呼び出して注意した規律委員会常務委員は、辛氏に、自身の言論により党紀処分を受ける可能性があり、本件はすでに立案審査の段階に入っているため、処分の結論が出るまでは、文章を発表したり、演説及び集会などに参加してはならず、北京を離れてもならず、自宅で自己反省文を書くよう命じた。

 ■タカ派も翼を折られる

 中共軍内のタカ派の代表的人物の一人、空軍上佐の戴旭氏が最近空軍から中華能源基金に移された。この人事異動はまったく予想外であっただけに、軍内タカ派や民間の支持者の間で大きな反響を呼び、彼の「下野」を惜しむと共に、中国軍内タカ派も翼を折られたと評されている。

 戴旭氏は、主に左派・毛沢東派の大本営であるサイト「烏有之郷」のブログを通じて、対米対日の強硬姿勢を主張している。中国の空軍と海軍についての戴氏の研究は、国内の多くの人から支持されているだけでなく、米国など海外メディアや軍事研究機関からも注目されており、梁光烈国防部長までも彼の才能と情熱を買い、選抜する予定だと言われている。

 しかし、「理工系の出身で政治工作を行い、文学を好んで軍事をもって人生を終わらせる」「学者ではないが正真正銘の軍人であると自負している」と自画像を描き抱負を打ち出している彼が、自ら軍隊を離れるとは、全く考えられない。しかも、多作の作家であるにもかかわらず、今年に入ってからは「烏有之郷」のブログ内容を更新しておらず、人事異動についていくら聞かれても一切言及しない。

 もう一人注目されるタカ派の代表人物、国防大学の朱成虎少将も最近、従来の強硬姿勢を失い、言論などで不偏不党的な立場をとるように変貌してきた。朱氏の境遇は戴氏とは異なるが、中共指導部からの圧力なしでは、このような急変は考えられない。

 ※ ※ ※

 中共軍内には、軍隊国家化や言論の自由、自由民主を主張する長老派と少壮派が少なくない。彼らの言動はもちろん、タカ派の言論も、不測の結果をもたらしかねないものとして、一党独裁の脆弱な基礎を内部から破壊しているのである。

 中共は、賃上げなどの懐柔策を実施することで現状維持を図ると同時に、乱を引き起こしうる上記のような異分子を確実に制御・排除して、「党が銃を指揮する」原則を確保しようとしている。

 しかし、現状から判断すれば、将来、最大の反骨であり、中共の崩壊を促す決定的な力は民間からではなく、軍内から現れるかもしれない。

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