【ぶらり散歩道】ー岡山篇ー 鬼の城

【大紀元日本5月24日】5月、見上げれば雲ひとつない青空。鴬の声、渓流のせせらぎの音を聞きながらつづら折りの新緑の山道を登ること1時間で鬼の城(きのじょう)山頂に到着です。

平坦な頂では古代の山城が発掘され、一部復元されています。7世紀ごろ築かれた防衛目的の城とか、温羅一族の居城ともいわれているこの城で、朝鮮式でもない独特の匠の技が随所に見られます。また、この温羅と吉備津彦命との戦いが桃太郎伝説のルーツといわれています。

土を層に突き固め(版築工法)、敷石や石積みで周囲を廻らし、これらは水門や排水溝とともに古代山城ではここだけの工法とか。またガイドさんによると、花崗岩の石は付近で調達したものの、一枚岩に段差を削りだし、穴をあけ、懸門(※)を築くというのは、まさに神業そのもの。土の固さを確認し、平らになっている石の表面に手を触れると、そこには1400年前の槌音が響いてくるようです。

 東西南北4カ所の門と6カ所の水門を配する周囲約3kmの城跡。標高400mと低いものの、遠く四国山脈まで360度見渡せる山上が城砦の要であったことは想像に難くありません。中世においては烽火の中継点の一つで、秀吉高松城水攻めの際に兵士への伝達にも使われたようです。

帰りは急な山道を30分で下りました。途中出会ったのは、建物礎石群や10畳ほどもある1枚岩、そして切り立つ石垣でした。

 まだ調査中ながら、遊歩道やガイダンス施設も整っています。復元された遺構では、古代の壮大な歴史ロマンを体感できることでしょう。最寄り駅は吉備線服部駅ですが、頂上まで車で行くこともできます。

(※)けんもん、取り外しの出来る門

 

張り出した城壁の一部の石垣

西門の段差、柱穴を掘り出した1枚岩

復元された西門と城壁、敷石

(文と写真・吉備)