THE EPOCH TIMES

安否不明だった高智晟弁護士、2年ぶりに家族と再会 専門家「政局変化に関連する」

2012年03月29日 08時52分
 【大紀元日本3月29日】中国公安当局に強制連行されてから20ヶ月間近く所在不明だった著名な人権派弁護士・高智晟氏。当局は15日、家族に監禁中の同氏との面会を許可すると通達した。そして、家族は大紀元の取材で面会の一部始終と同氏の近況を明らかにした。

 今回の面会のため、陝西省在住の兄・高智義さんは、数千キロ離れた新彊ウイグル自治区沙雅県監獄を訪れた。現地の公安警察が終始同行していた。24日正午、高智義さんは氏の義父とともに同氏と面会した。所在不明になってから2年ぶりの再会だ。

 2009年年初、2人の幼い子どもを連れて、第三国経由で中国から脱出し、米国政府に難民として保護されている同氏の妻・耿和さん。実父が、国際電話で面会時の一部始終の説明したという。

 面会時間は約30分だった。警官同行のもとでガラス越しにマイクを使って行われた。高智晟氏は泣き止まない兄と約20分間会話し、家族全員の健康状況と近況を聞いたという。義父とは約10分間言葉を交わした。健康状況を尋ねてきた高智晟氏に対して、義父は「あなたに会えたから、もう体は大丈夫だ」と答えた。その言葉に高智晟氏も泣き出してしまったという。

 高智義さんは耿和さんに、「彼(高智晟)は自ら中から歩いて出てきた。見た目では体に異様がない様子」と話した。

 今年47歳で、クリスチャンである高智晟弁護士は、社会的弱者から無償で弁護を引き受ける、「正義の弁護士」として中国全土に知られていた。中国当局に集団弾圧されている法輪功について、独自調査を行い、2005年から3回にわたり最高指導部に公開嘆願書を提出し、弾圧の違法性と残虐性を訴え、弾圧の停止を訴えた。2006年には、高氏が北京で経営する法律事務所が強制閉鎖され、同年12月22日、当局は「国家政権転覆扇動罪」で同氏に有期懲役3年、執行猶予5年の判決を下した。

 執行猶予期間中、高氏の家族は当局の監視下に置かれていた。 

 2007年からは、高氏は何度も公安当局に強制連行され、そのたびに所在不明の状態となった。最後に公で姿を見せたのは2010年4月。それからまた行方不明になった。家族や友人は公安当局に繰り返し氏の所在を問い合わせたが、「関わっていない」「知らない」のような回答しか得られなかったという。

 約20ヶ月後の2011年12月16日、中国当局は同氏の有期懲役3年の刑を執行すると公表、新彊ウイグル自治区の沙雅県監獄に収監していると弁護士の家族に通知した。

 2012年1月10日、兄の高智義さんは数千キロ離れた新彊に訪れ、同氏に面会しようとした。しかし、刑務所側は「本人が会いたくない」などの理由で、面会を許可しなかった。当時、落胆した家族は同氏はすでにこの世にいないではないかと絶望した。

 今回、夫の生存の報告を受けた耿和さんは取材記者に対して、「やっとほっとできます。少なくとも夫はまだ生きている。このことを知った直後、疲れがどっと出て、おもわず一眠りしてしまいした」と心情を語った。

 一方、度重なる強制連行、所在不明の期間中には、高氏は様々な拷問を受けていた。

 ラジオ・フリー・アジア(RFA)は2009年、「黒夜、黒頭套、黑幇綁架(日本語訳:真っ黒の夜、真っ黒の目隠し、暗黒勢力による拉致」というタイトルの同氏の文章を掲載した。リンクhttp://www.rfi.fr/actucn/articles/110/article_12130.asp

 その文章の記述によると、2007年当局に監禁中、同氏は数々の拷問を受けた。殴る蹴るの暴行、陰部に電気ショックを与える、タバコの煙で目を燻る、生殖器につまようじを刺し込むなどなど。拷問を行う警官は次の暴言をも吐いた。「お前は共産党が拷問をやっていると騒いでいたじゃないか、今回はその一式を全部お前に体験させてやる。法輪功の人たちを拷問していると言ったんだろう、確かにその通りだ。一点の偽りもない。俺らはいまお前に対応しているこの12種方法は、法輪功の身に実行済みで鍛えられたやり方だ。はっきり言っておく、俺様はお前がまた何かを書くのを恐れていない。お前がここから生きたままで出て行く可能性はないだからだ。お前を殺しても、遺体すら残さないからな」

 高弁護士が弾圧中止を訴えていた法輪功(ファルンゴン)とは、中国伝統文化の一つである気功の心身健康法である。心身の健康に効果が高いことから、一般庶民から政府高官や軍の関係者も含めて、中国社会の各層で学習する人が爆発的に増え、弾圧されるまでは、愛好者は1億人に上ったと推定されている。当時の江沢民・前国家主席はこのことを政権への脅威と受け止めて、1999年7月に弾圧を命じた。一説では、当時、中共の最高政策決定機関である「中央中央政治局」の常務委員7人のうち、江沢民氏を除いて6人は弾圧を支持しなかったという。

 江沢民氏が政権から退いたいま、弾圧を陣頭指揮しているのは江沢民派閥の中心メンバー、中央政法委のトップ周永康書記。一説では高智晟氏への迫害を命じたのも周永康氏とされている。今回、江沢民派閥のもう一人の中心メンバー、周永康・書記の後継者とされていた重慶市共産党委員会の薄煕来・書記が解任された当日に、家族に2年間も会えなかった高智晟氏との面会通知が届いた。「これは決して偶然なことではない、最高指導部の政局の変化に関連しているであろう」と中国問題の専門家たちは指摘している。

 2008年と2010年、高智晟弁護士は、ノーベル平和賞にノミネートされている。

 (記者・古清児、翻訳編集・叶子)
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