世界文化遺産 黄山

2014年07月28日 15時19分
【大紀元日本7月28日】黄山(こうざん)は安徽省南東部に広がる名山で、面積は約154平方キロあり、古くから奇岩、渓流、雲海など山水の景勝が有名です。その立ち並ぶ山々は古生代にできたもので、何億年にもわたる地殻の変動と氷河による浸食、風化によって、現在のような断崖絶壁の景観ができあがりました。気の遠くなるような時を経て作り上げられたこの風景は、自然の偉大さと神秘を実感できる中国ならではの景勝地で、中国十大名勝地の一つです。特に雲海は一定の天気が続くことは無く、刻々と姿を変え神秘的です。

 峰と雲が織り成す風景は、伝説の中で仙人が住む世界「仙境」と言われています。また、奇怪な形の岩山から生える松の木など、中国の山水画といえば思い出す風景が随所に見られ、多くの山水画に描かれている場所でもあります。そして多くの文人が黄山に憧れ、漢詩などの題材ともなりました。古代から「黄山を見ずして、山を見たというなかれ」と言われ、中国の文人達によって愛されると同時に、道教の聖地としてもあがめられてきました。

 それらの特徴から、1990年12月に世界遺産の自然、文化の複合遺産に登録されました。これは中国国内において泰山に続く快挙であり、2004年には世界初の世界地質公園にも認定されています。

 黄山の主峰の高さは1864.8メートル、主な風景区は6つに分かれています。なかでも見逃せないのが玉屏景区と北海景区です。玉屏景区には一番高い峰である蓮花峰があり、有名な松「迎客松」もここにあります。次に外せないのが北海景区です。ここには有名な石「飛来石」があります。

 春は花、夏は青々とした松、秋は紅葉、冬は雪と、春夏秋冬どの季節にも異なる美しい顔を見せる黄山は、中国人はもちろん、国外の観光客も多く訪れています。

 黄山にまつわる伝説

 2、黄帝伝説

 「黄山」という名は黄帝にあやかったものです。黄帝とは中国の伝説上の皇帝で、中国医学の始祖としても知られています。この黄帝が弟子とともに黄山にやって来た時、美しい景色に感動し、また仙気(仙人の力になる力)が満ちていると感じ、ここで丹(不老長寿の薬)をつくることにしました。そして出来上がった薬を飲んで、仙人としての修行が終了し、天に昇ったと言われています。

 また、唐の楊貴妃との物語で有名な玄宗皇帝は道教への信奉が厚く、もとは崗山、黟山などと呼ばれていたこの山を、黄帝にあやかって「黄山」と改名したそうです。

 2、夢筆生花

 黄山の峰のひとつに「夢筆生花」と呼ばれる峰があります。ちょうど筆の先のような形をした峰の先に満開の花のような松が生えているものです。この峰にはこのような伝説があります。

 唐の時代、黄山を訪れた大詩人李白が黄山の美しさに見とれて詩を吟じた声を禅寺の長老が聞きつけ、李白を酒でもてなしました。李白はお礼に詩を書いたり、楽しく飲んでいたのですが、酔っぱらったので詩を書いていた筆を落としてしまいました。筆は地面に突きささり、気がつくと大きな峰になっており、筆の先は松になっていたそうです。

 3、丹井

 丹井は直径約60センチ、深さ約1.7メートルの穴で、黄帝が丹をつくるときに薬を搗いたためにできた穴という伝説が残されています。実際はこれも氷河が残した痕跡で、水が石をうがってできた穴で、入り口よりも内部が大きいのが特徴です。

 黄山の見どころ

 黄山には「四絶」と称される見どころがあります。

 
 黄山の松 (大紀元)

1、松

 黄山の松は「黄山松」と呼ばれる特異なもので、気候などの条件により変異したものだろうと言われています。その松はいずれも800メートル以上の高地に分布しており、岩の割れ目に根を張り、強い生命力を持つものとして、尊ばれています。

 このような厳しい自然環境から、根の長さは樹木の数倍から数十倍にも達しますが、地上の松の成長速度は極めて遅く、200メートルの長さに成長するのに、100年以上の歳月を要すると考えられています。

 黄山松で最も有名なのが十大名松のひとつである「迎客松」です。樹齢800年と推定されており、大きく両手を広げたような形をしているため、黄山にやって来たたくさんの観光客を迎えているようにも見えます。

 2、石

 変わった形をした巨石が多く見られます。名前がつけられた怪石は120カ所にもおよびますが、「飛来石」や「猴子観海」などが特に有名です。どの怪石も、天に向かって屹立する奇怪な形状で、動物や人など様々な形があります。「飛来石」はまるでどこかから飛んで来てここに落ちたかのような不可思議な形をしているので、このような名前を付けられているのです。

 3、雲海

 海から流れ込む湿った空気が海抜1000メートル以上の峰々に漂い、大量の霧や雲を発生させています。眼下にまるで海のように広がる雲海は黄山では1年中見られる現象で、特に冬の雲海が美しいと言われています。また、雲海の間から峰がのぞき、黄山だけの美しい景色を作り上げています。

 4、温泉

 黄山にはたくさんの温泉が湧いています。温度は約42度、温泉として入ってもよいし、飲んでもよいとされています。伝説の黄帝もこの温泉につかりながら、丹を練ったといわれています。

 古代から「天下の名勝、黄山に集まる」と言われ、中国の人々が黄山の美しさを「天下第一」と称えています。

 徒歩で登ると5時間ほどかかりますが、ロープウェイも用意されています。登山コースはいくつかありますが、後山(雲谷寺)から登るのが比較的楽な経路です。できれば山上のホテルで一泊して、雲海に登る朝日を望むのがおすすめです。

 日本からのアクセス

 日本から直行便は運航していないので、上海などの国内都市で乗り継ぎになります。上海方面からは列車で向かうと10~12時間が一般的でした。徽杭高速道(杭州・黄山間2時間)が開通してからはチャーターバスで向かう(5~6時間)ことが多くなっています。

 黄山の麓、南西に65キロほどいった場所には、同じく世界遺産である安徽省南部の古村落もあります。

(叶子)
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