嫉妬心

【大紀元日本9月4日】5千年の歴史を持つ中国には、古来から「文人は互いに軽蔑しあい、武人は互いに大事にする」という言い伝えがある。武人は、身体や技の鍛錬だけでなく、精神的な修養をも重んじることから、彼らは武術をもって交わりを結び、互いに惜しむことを知っている。

一方、近代において、文人の間では「文章の場合は、自分の方が良く、妻は、他人の奥さんの方がいい」という冗談が流行っている。これは、実は中国人特有の強烈な嫉妬心の現れを風刺している。古来、儒教思想の影響を強く受けてきた中華民族は、忍や礼を重んじ、内向的な性格を持つようになった。その傾向が極端に行くと、嫉妬心を生じやすくなる。

中国には、嫉妬心に関する歴史物語がたくさんある。兵法に長け、優れた才能を有していた孫臏(そんぴん)を嫉妬した厖涓(ほうけん)や、『封神演義』の中で、申公豹が能力のない老いた姜子牙を嫉妬したこと、また宋の時代、救国の英雄と言われた岳飛を嫉妬して謀殺した秦檜など、その数は数え切れない。嫉妬心から相手を貶める人物は、後々まで人々から軽蔑され、罵られる羽目になり、その末路は悲惨だ。

通常、嫉妬心の強い者は内向的な性格が多く、自尊心が強く、メンツを重んじ、常に他の人に対して劣等感を抱いている。このような性質を持つ人は、昔から中国では蔑まされてきた。

しかし、現代では、多くのメディアが「個性の主張」を煽り立て、利己主義が氾濫する中、人々は嫉妬心をも次第に増幅させている。大部分の人は他人に厳しく、自分に甘い。他人が出世したり、財を築いたりすることに嫉妬し、他人の幸福はすべて気に入らないのだ。寛容の心を持って、相手を尊重し、他人のことを思いやることができなければ、人生は空しくなるばかりだ。