【文化論エッセイ】獅子身中の紅虫

【大紀元日本2月11日】最近、PCのオンライン上で、「脳内地図」なるものが流行している。筆者も試しにとやってみて、「欲」と「悪」の文字がずらりと並んだ様子に苦笑してしまったが、現代日本人の精神構造にも、看過できない、笑えない事実を発見して驚愕することがある。

隣国中国では、国共内戦に勝利した毛沢東が、民衆の怨恨を煽り、階級闘争を経て「共産革命」を達成したが、私はこれまで、これを外国の赤禍として見くびり看過してきた。

しかし、よく周囲を観察してみると、日本人の一般労働者の中に、これとよく似た階級闘争の意識が存在することを発見した。例えば、会社の上司の落ち度を見つけては、職場の怨恨の機運を煽り、その人をポストから引きずり下ろそうとする陰険な動きだ。では一体なぜ、このような事が国内で起るのだろうか?

それは、日本の労働組合を指導する全共闘幹部が、日本共産党からの出向だからではないだろうか?彼らが指導しているのは、全く赤い「階級闘争」そのものではないのか?その現状は、まさに「この身の外(環境)ありて、この心の内あり」で、内外が相応している画だ。

他にも、オリンピックなどの国際競技において、日本の運動選手は、外国の選手に比べてプレッシャーに弱く実力が発揮できていないとの指摘があって久しいが、その実彼らは日章旗を見て、君が代の国歌を聴いてアレルギーを催していないか?

では、アレルギーを起こすように日本人を徹底教育したものは何か?日教組ではなかったか?そして、その幹部は、戦後にクレムリンの意向を受けて発足した旧社会党系からの出向ではなかったのか?

国旗と国歌に対する態度を云々する教育を受けた人間が、内心熟知たるものでこれを見聞きして、大舞台で力が発揮できるとも思えない。

同じ極東の国でも、中国、韓国、日本とでは、道徳の力点が違うようだ。即ち、中国は天下国家を憂える「仁義」、韓国は血族の結束を重んじる「孝行」、日本は組織人として立つ「忠誠」だ。日本人が忠臣蔵を好むのもこういったことに由来しているのかもしれない。

しかし、これらの民族的な美点は、「赤い風」に長年晒されることによって、見事に侵蝕されつつある。中国大陸では共産党が政権を樹立して文革を行い、朝鮮半島は南北に分断されて、日本では腹中の「獅子身中の紅虫」が騒ぐといった様相だ。

では、こういった国内の紅虫たちは、一体どこから湧いてきたのか?遠くは、ポツダム会議にまで遡る。日本の占領政策と戦後処理をめぐり、社会主義ソビエトは、日本の南北分断(北海道の割譲)を希望したが、英米を中心とする自由主義圏がこれに強硬に反対したために、譲歩の次善策としてクレムリンの意向を汲む勢力をこれらの連合国側が日本国内に認めた、というのが内実ではなかったか?

ベルリンの壁崩壊以降、欧州の共産主義勢力は急速に衰退し、赤の本家本元であるソビエト政権は崩壊し消滅した。しかし、それが残した盲腸のような紅虫たちは、いまだに国内に残留し生存して騒いでいる。

これらの紅虫たちは、一体全体益虫なのか、それとも害虫なのか、どのようなものなのか?それを歴史的に考察し、検証し、審判を下すのは日本人の一般市民それ自身に違いないだろう。