ロシアの良心、故国の土に還る

【大紀元日本8月8日】「収容所群島」「イヴァン・デニソビッチの一日」などの著作で知られるロシアの良心、アレクサンダー・ソルジェニーツィン氏の遺体が6日、モスクワ・ドンスコイ修道院の墓地に葬られた。そこには、数多くの詩人、哲学家、そして歴史家が永眠している。メドベージェフ大統領もまた、その遺族、友人そして弔問客らの葬列に参加した。

ソルジェニーツィン氏(享年89歳)は、心臓病のためモスクワ市内の自宅で3日逝去したが、5日にその遺体をロシア科学アカデミーに安置するにあたっては、ロシア市民の多くがこれを支持した。それは、ノーベル文学賞受賞者に対する盛大な支持であった。

ソルジェニーツィン氏の著作は、スターリン体制下の強制労働収容所を暴いたもので、これにより旧ソビエト体制下で20年間の亡命生活を余儀なくされた。

5日の弔問客の中には、かつてのKGB長官であったプーチン元大統領の姿も見られた。ロシア軍の儀杖隊が棺の脇に立ち、葬列者たちはその棺の元に次々と献花した。ソルジェニーツィン氏の妻・ナタリアさんは、息子のステパンさんやイェモライさんらとともに葬儀に立会い、葬列者たちから悔やみの言葉を受けると、その棺にひざまずき口付けをした。

<ソルジェニーツィン氏の足跡>

1918年:12月11日出生。

1945年:「国家反逆罪」の罪で強制労働8年の判決を受ける。

1962年:「イヴァン・デニスビッチの一日」をロシア国内で発表。

1970年:ノーベル文学賞を受賞。

1974年:「収容所群島」を発表。

1974年:2月13日、ロシアから亡命。

1994年:ロシアに帰国

2008年:8月3日、ロシアで逝去

生前、モスクワ郊外の自宅でロシア元大統領プーチン氏の訪問を受けるソルジェニーツィン氏(2007.6.12、photo by MIKHAIL KLIMENTIEV/AFP/Getty Images)

ソルジェニーツィン氏の棺に寄り添う妻・ナタリアさん(AFP/Getty Images)