【ベルリン便り】ベルリンの美術館ナイト

【大紀元日本9月3日】8月30日、第23回「ベルリン美術館ナイト」が、久しぶりの晴天と30度近い気温に恵まれた土曜日に行われた。今回のテーマは「城、公園、庭」で、「Tages Spiegel」紙によると、4万人が各施設共通の入場券を手に、あちらの美術館から、こちらの美術館へ、こちらの庭園から、あちらの城へと夏の名残の週末、芸術と文化とグルメの夜を楽しんだという。イベントの幕が上げられたのは、旧宮殿跡の庭園、ルストガルテンで、美術館の町ベルリンの名に恥じず、そこから歩いていける美術館だけでも15をかぞえる。

「美術館ナイト」(Lange Nacht der Museen=Long night of Museum )は、ベルリンの文化財をもっと多くの人々に知ってもらおうという趣旨で、1997年1月にベルリンにある12の美術館が協賛して始めたイベントで、閉館時間を通常の午後6時から午前2時に延長して、美術・文化関連の講演会、映画の上映会、朗読会、音楽会などを開いて人々を惹きつけた。以来、毎年1月と8月に開催され、回を重ねるごとに協賛する美術館・展覧会・美術プロジェクトなどが増え、現在では125に昇る。また、各会場共通で、しかも、会場を結ぶ公共交通機関にも使用できる共通入場切符も魅力となって、訪問客は年々増え続け、2005年1月の美術館ナイトには、15万4千人が訪れた。

ベルリンの美術館ナイトの成功により、ミュンヘン、ハンブルグなどの文化都市も同プロジェクトを導入し、その後、ドイツだけでなく、パリ、アムステルダム、ローマなどヨーロッパの各文化都市にも広がり、現在では世界50都市に、と世界的な広がりを見せている。

交通費を含む共通入場券は、前売り12ユーロ、当日券15ユーロ(約2000円から2500円程度)と格安で、しかも、ベルリン市内の足であるバスや電車は、美術館が午前2時に閉まった後も、朝まで走っている。この夜はまた、目や耳を楽しませるだけではなく、グルメの楽しみもあるというので、口さがないベルリンっ子が「あれは、文化版ラブパレードだよ」というように、祭りの気分に盛り上がっているが、普段ちょっと敷居の高い美術館に祭りの乗りで入って、かび臭い美術館の奥に眠っていた傑作と出会うなどというのも、悪くないのでは・・・

日本人アーティストHIROSHI SUGIMOTO(杉本博司)氏の展覧会も開かれていた。(写真=大紀元)

「美術館ナイト」の夜、絵を鑑賞する多くの人たち(写真=大紀元)

(記者=エリカ)