【ニューヨーク通信】ニューヨークの住宅事情(その3)

【大紀元日本10月22日】ニューヨークの建築ブームは、今年(2008年)が最高で、来年から下降すると言われています。日本のバブルを彷彿とさせるような建築ラッシュが数年続いていましたが、昨今の不況と飽和状態にあるビルの建築が今、頭打ちになっているのでしょう。

そんな中で、場所だけは依然人気の高いミート・パッキング・デストリクト(マンハッタンのダウンタウン、グリニッチ・ビレッジの一角)にある私の中古のコンド・アパートを高く売るのは至難の業です。

やはり、買い手は財産としての価値のある新築に目がいくからですが、そうかと言って、マンハッタンの新築アパートは値段が高すぎて、一般の家族持ちで部屋数が必要なサラリーマン家庭には、とても手が届きません。

マンハッタンの新築(ハーレムを除く)は安くても70万ドル(=7千万円)以上出さないと買えず、しかも、管理費はほとんどのビルで月7万円以上かかります。そのようなビルは、多くのところで安全のためにドアマン(受付にいて、来客や配達などを内線で知らせてくれる)を置いていますが。

ただ、新築の物件を購入した場合には、特典があります。財産税の支払いに、421Aと呼ばれる減額制度があり、最初の10年から長くて21年間は、税額が非常に安く据え置かれます。月々3千円から1万円ほどですむ事が多いのです。

とはいっても、月々30万から40万円以上のローンの支払いができるサラリーマンが果たしてどのくらいいるでしょうか。

もちろん、持っている不動産を売り、借り入れ金額を少なくして、新たにローンを組む場合は、ある意味で可能かもしれません。不動産屋さんが言うには、このような顧客が圧倒的に多いそうです。

アメリカの不動産屋に行くと、よくあなたはファスト・バイヤー(初めて不動産を買う人)かそれともすでに不動産を持っている人かと聞かれますが、不動産がなくて初めて物件を買う人には、小さ目のあまり高くない物件を薦めます。つまり、初めて買う人の場合は、年収が5~6百万円以上ないと、高いローンを組むのは無理だということだと思います。

逆に、不動産を持っている場合、特にマンハッタンに不動産を持っている場合は、それはある意味で投資物件とみなされます。証券や金などの取引の不安定さより、今まで値段が上がることはあっても下がることのない、この限られたマンハッタン島の地域物件は、人々から価値があるとみなされているように私には思われます。

(続く)

(記者・山崎)