漢字の神秘(14):儒

【大紀元日本3月15日】(rú)は、「儒学」、または儒学を研究・実践する「儒者」にも使われます。字を見れば分かるように、「人」を意味する二ンベンと、求めること・必要なものといった意味の「需」(xū)で組み合わされています。従って、「儒」は人間にとって必要なものという意味を表します。

古代中国では、人間は生まれ落ちると、まず、最初に必要なものは栄養、次に必要なものは教育であると考えられました。赤ん坊は、母親から母乳(mŭrŭ)を与えられ、少し成長して孺子 (rúzi=子供)になると、まず教育を受けます。教育は、赤子にとっての「乳」のように、人間の成長に欠かせない重要な要素でした。

「儒学」は、春秋時代の中国の思想家・孔子(紀元前551年-紀元前479年)によって確立されました。孔子は、人格者になるには、 (思いやり)、(礼を尽くし、儀式を行う)、中庸 (極端に走らず、中道にいること)、(正義を貫く)を修め、ひたすら学び、知恵を磨くことなどを説いています。

その中でも、特に孔子が重要視したのは、「仁」でした。仁は、「人を慈しむ心、慈愛、優しさ」のことで、仁が豊かになれば社会秩序が保たれ、国が安定すると孔子は考えました。この「仁」があって初めて「天の摂理(真理)に則り、人間としての規範や決まりを守ること」ができ、つまり真の「礼」を実践することができるのです。

孔子は、いかに礼儀作法に優れ、どのような教養を身に付けていても、仁がなければどうにも仕様がないと説いています。

(翻訳編集・田中)