繁体字vs簡体字

【大紀元日本4月16日】中国語の表記には、2種類ある。大陸で使用されている「簡体字」と、台湾、香港、世界の華僑社会で使用されている「繁体字」だ。簡体字は1950年代から60年代にかけて、毛沢東の指示により中国語を簡略化して普及させたもので、「繁体字」はその影響を受けておらず、古代中国の漢字により近い複雑な字をしている。

どちらの漢字がいいかについては、昔から中国社会で議論されてきたが、最近では中国大陸でも「繁体字」の復活が提案されている。

ラジオ・フリー・アジアによると、中国人民政治協商会議の潘庆林(Pan Qinglin)氏は、大陸における簡体字を廃止し、徐々に、10年以内に伝統的な中国語を復活させようと提案したという。

その理由として潘氏は、三つの理由を挙げている。

ひとつめとして、簡体字にはもともとの原義が失われてしまっていることだ。潘氏は、繁体字の「愛」には“心”が含まれているが、簡体字の「爱」には“心”の部分が抜けており、従って「心のない愛になってしまった」という。

二つ目として、簡体字が推奨された理由として、当時の識字率を高めるためだったということがある。比較的複雑な漢字は、読み書きの習得に困難が伴うとされていたが、最近ではパソコンの普及により、その問題もなくなった。簡体字も繁体字も、パソコンに入力する時は同じだからだ。

三つ目として、文字が台湾と同一であれば、“中台統一”がスムーズにいくという理由だ。

ニューヨークの中国古典文学専門家シェ-・シュアンジュン(Hsieh Xuanjun)氏も、潘氏の意見に同意している。後漢時代に成立した漢字の百科事典『説文解字』によると、漢字の造字原理は6種類に分類されるが、簡体字はそのルールを全く無視して作られていると潘氏は言う。「簡体字は、とてもみにくい。個々の言葉を感じることがない……(簡体字は)様々な面でロジックが抜け落ちているから、みにくいのだろう」。

また、簡体字の方が識字率を高めるという理論は納得できないとシェ-氏は言う。簡体字を使う中国大陸の方が、台湾よりもはるかに識字率が低いからだ。中国と台湾の違いは、文字のせいではなく、教育制度に問題があるからだとシェ-氏は主張している。

シェ-氏は、中国共産党が、繁体字を復活させるかどうかについては「大きな疑問」としながらも、もしやる気があるならば、「中国文明と中国人の祖先はそれを喜んで受け入れるだろう」とコメントした。