古布に新たな命をふきこむ「裂織」フェスタ

【大紀元日本9月9日】全国裂織協会主催の「全国裂織フェスタ2009」が、8月29日、30日に浅草台東館で開かれた。会場には例年以上の1300人以上の裂織ファンが訪れ、飾られた第1回から4回までの全国裂織公募展受賞者の作品に見いっていた。

「裂き織り」とは、使用しなくなった服や、古くなった布を裂いて糸状にし、それを主に横糸に使って布を織る技術をいう。裂き織り文化は世界中比較的どこにでも見られるが、特に北国では顕著にみられる。北国では綿花栽培が難しいので、寒さをしのぐために機能的に優れた木綿が貴重にされてきた。そのため木綿布を「繰り返し」使う上で発達したのが「裂織」だ。日本では江戸時代初期に綿花栽培技術が南蛮より伝来し、中期には東北地方で裂き織りの布を服にしたり、敷物にしたりする文化がみられる。

全国裂織協会の発足は、日本各地の裂織文化をつなげ、裂織人同士の交流と裂織の普及にある。また現在では使い捨て生活から一歩進んだ「古布の再利用」リサイクルネットワークを広げる目的もある。会員は300人程で、定期的に公民館や学校などで、ワークショップや作品展が行われている。

今年のフェスタについて、全国裂織協会副理事長の野口和子さんは「会員関係以外の方の来客が多くて、いつも以上の賑わいです。再利用でエコにもなるし、裂き織りで出来たバック、ベストやコートもあり、自分で織って自分で着られるとは大変楽しいことです」と裂織の魅力を語ってくれた。また「裂織のおもしろいところは、古い布が新しい布に再生されること。裂く方向などで出る模様も違うし、着物の胴裏の黄ジミも織り込むとやさしいクリーム色になる。たんすに眠る着物や古い服も、裂織で新たな命を吹き込むことできる」という。野口さんは草木染も得意としており、タペストリーなどの作品でその自然で優しい作風が垣間見られる。特に36年間の教職員生活の中で、子どもたちと共に季節を過ごした桜への想いは深い。「桜葉染めはその種類、採取時期などにより一つとして同じ色はなく、子供たち一人一人と同じようにいとおしい」という。

また同じく同会副理事長で今回の裂織フェスタ実行委員長、駿河裂織倶楽部代表の朝原智子さんは「今年のフェスタは『文化への挑戦』がテーマ、新しいことに取り組んでいきたい」と話す。朝原さんは近年「造型織」という技法を創造し、自然や心象風景を暖かな作風で表現される。

朝原さんと野口さんは10月1日から八ヶ岳美術館で「古布の詩、裂織の世界」と題された二人展を開催する。期間中は、活躍する裂織人の二人のトークが聞け、機織ワークショップで機織体験ができる。再利用でエコにもなる裂織を、是非この秋に体験してみては。

「造型織り」でもって作られた全国裂織協会副理事長で今回の裂織フェスタ実行委員長、朝原智子さんの宇宙を思わせる作品(大紀元)

同じく同会副理事長、野口和子さんの作品「Les Nympheas de Giverny 1」(大紀元)

(西村)