流行語で読み取る激変の中国(4)

【大紀元日本9月11日】

3、原語=三個俯臥撑。

和訳=腕立て伏せ三回

08年6月21日夜、貴州省甕安県の女子中学生・李樹芬さん(16)が、知り合いに誘われて川の堤防橋で遊んでいた。翌日3時過ぎ、川で李さんの死体が発見された。

警察は彼女が入水自殺したと断定したが、家族や友人らは理由もなく自殺したとは考えられず、一緒にいた男子の同級生に性的暴力を加えられ殺害された疑いがあるとして、再調査を求めた。容疑者の男子は甕安県高官の親戚であるという。

6月27日、甕安県警察署は李さんの死亡調査報告を公布、自殺原因を家での男尊女卑による差別とし、溺死だったと判定した。そして、李さんの死体を速やかに仮葬しろと命令、さもなければ警察当局は強制的に処理すると警告した。

これを受けて、翌日、事件に注目していた市民およそ2万人が、県庁および警察署に集まり事件を公正に解決するようにと請願した。しかし、役所では接待する人も現れず、彼らの請願はいっさい無視されていた。憤った一部の市民は警察の車や県庁および県警ビルに石を投げたり火をつけたりし、いわゆる「甕安騒乱事件」が起きた。

7月1日、貴州省政府は記者会見を行い、警察当局は李さんの自殺経緯を説明した。それによると、当日夜、李さんは友だちと4人で遊びに出かけ、川の堤防橋でしゃべっていた。李さんは「死にたい」と口にした。その後、二人の友だちが帰り、李さんと劉くんが残った。劉くんは「堤防橋で腕立て伏せをやり始めた。3回目までやったところ、李さんは私行くよと言って、川に身を投げた…」と言った。

この「腕立て伏せ三回」は、ジョーク的で、ある行為を連想させられるほか、中共の体質をも象徴しうるものなので、当夜からサイトでいきなり広がっていった。そして、すばやく流行語のトップに登った。

「北京オリンピックを迎えるために、毎日腕立て伏せ三回やろう」と呼びかけたり、「腕立て伏せ三回」だけでは人を自殺に追いやれないとの実験レポートが発表されたり、「腕立て伏せ党」や「腕立て伏せグループ」を立ち上げたりするなど、さまざまな「腕立て伏せ」イベントが行われていた。そして、不動産屋さんもこの「腕立て伏せ」ブームに乗って、南京の街頭で次のような広告を出した。「住宅価格は川に身を投げはしないが、ただ腕立て伏せをやるだけだ」。

「腕立て伏せ三回」が流行語になった社会背景として、中共の愚民的政治への不満およびそれに伴う無力感が挙げられるだろう。言葉自身というよりも、その背後にある本質的なものとそれの象徴性がクローズアップされているのである。

今、「腕立て伏せ」は「レイプ」、「私と無関係」、「荒唐無稽」などの代名詞として、若年層の間でなお愛用されている。