流行語で読み取る激変の中国(6)

【大紀元日本9月26日】

原語= 你們算個屁!

和訳= お前らは屁にもならない

この流行語は、中共深圳海事局書記・林嘉祥の喝破によったものである。

「你們」は「お前ら」、「算」は「~と見なす」、「屁」は文字通りの意味である。「你們算個屁!」を訳すれば「お前らは屁にもならない」になるだろうが、これでは原語の侮辱性や攻撃性およびその卑劣さをなかなか再現できない。

08年10月29日夜、林嘉祥氏は、深圳市の新梅園海鮮大酒楼で食事をし、宴会場フロアーで見知らぬ11歳の女児に頼んでトイレに案内してもらい、そしてトイレでその女児に猥褻行為を図った。女児は反抗して逃れた。その後、女児の父母は子供を連れて林氏に確認したところ、林氏はかんかんと怒鳴りつけた。

「俺はたしかにやった。どうだ?お金がいくらほしいか、言ってくれ。俺が誰か知っているのか?俺は北京交通省から派遣された官員で、階級はお前らの市長と同格だ。俺はたしかにこの子の首を絞めたが、それがどうしたというのか?お前らは屁でもない、俺と戦うつもりか?お前らをどうやっつけるかを見てみろ!」

事件が発生した当時、林氏の身分は判明しなかった。しかし、宴会フロアーで林氏の暴れた一部始終が、フロアーに設置された監視カメラに録音、録画され、しかも事件の経緯およびその録画がすばやくネットに流れた。

警察の調査とは別に、ネット住民たちは当事者に関する情報を徹底的に調査し、10月31日朝、林氏の身分が判明した。その上、携帯番号や車のプレートナンバー、写真など詳細な情報もネットで公開され、これによってこの事件は著しく世論の注目点となった。 

世論の圧力により、11月2日、中国交通運輸省および深圳海事局は記者会見し、林氏の猥褻行為に謝罪し、林氏を懲戒免職処分にしたと伝えた。しかしこれでも世論の波瀾は沈静化せず、かえってより一層刺激され、ネット住民らはより活発になり、事件についてのイラストや替え歌を作り出し、林氏に「中国感動賞」や「畜生賞」を授与し、受賞式の写真までも作成しネットに載せた。「受賞功績」として、「中共官員の仮面を果敢に外し堂々と本音を言う敢行」や「倫理道徳の極限にあえて挑戦する勇気」などが挙げられた。

中共の官員なら、普通「民のために執政する」や「人民本位」と唱えるが、この「你們算個屁!」はその対極でありつつも彼らの本音なのだ。これが中共の唱える執政理念に対する絶妙な風刺というよりも、何の忌憚もなく本音を堂々と吐き出せる中共官員の赤裸々さに、世論は驚かされる。それゆえ、このことばは、中共の独裁体質を照らし出す「歴史に残る名句」として、昨年の10大流行語に入選された。

ネット住民の厳しい糾弾により、1人の中共高官は倒れた。民は屁にもならないのではなく、民こそ歴史を動かす動力であることが教えられたと、ネット住民らは本事件で切に感じたという。