流行語で読み取る激変の中国(8)

【大紀元日本10月15日】

原語= 山寨

和訳= コピー商品

中国語の「山寨」とは、山中の砦(とりで)や周りを土塀や柵で囲まれた山村のことである。

水滸伝の英雄好漢たちは、梁山泊を独占し自由奔放に楽しんでいたが、これも一種の「山寨」である。都に対する「山塞」は本来から、辺鄙、疎外、独立、自由などのほかに、野蛮という文化的含意も含まれているのである。

「時と共に進め」と鞭を入れられる中国人だが、この「山寨」も時代とともに進化、変容し、つい2008年10大流行語に選ばれた。

今の「山寨」とは、辺鄙な山村や梁山泊のようなものではなく、そのような野性をもつコピー商品、模倣品、盗作品の代名詞なのである。

「山寨」は、民間のIT産業の勃興に伴った産物であり、最も早く誕生したのは「山寨携帯」であり、その後「山寨家電」、「山寨俳優スター」、など、さまざまな「山寨」ものが誕生し、物質および文化の市場に満ち溢れている。

「山寨」ものに対し、中国人はたいてい無抵抗である。外見も質も本物と大差がないし、しかし安くて勝手に使えるのだからいいじゃないか、という感じだ。とはいえ、いったんものというレベルを超えたら、さすがな中国人でも厳しくなる。「山寨スター」らが厳しく叩かれるのはその一証拠だ。

偽物への批判や譴責に、「山寨」は悪じゃれ、いたずら、ふざけという要素も加味され、「山寨オリンピックスタジオ」や「山寨人民日報」がこれである。CCTV(中共中央テレビ)の「旧正月文芸夕べ」は、ワンパターン的で洗脳本位のものであるため、だんだん人気を失い、かつ多くの国民から嫌われている。それに対抗し、また侮辱するために、民間人による企画、出演した「春節聯歓夕べ」が昨年、巨大な圧力の中で行われた。「山寨版の旧正月文芸夕べ」と呼ばれるこの夕べは、ネットで広く伝えられかなり人気を博していた。

このように中共のものに対し、民間では色んな「山寨」ものが作り出されているが、これらはいずれも通常の文化的レベルを超え、イデオロギー的な次元へ昇華し、「山寨」の第四義として急成長しているのである。

中共は目下、勢いよく成長している第四義の「山寨」をはなはだ恐がりつつなおざりにするというジレンマに陥っている。すなわち、これらの「山寨」ものを取り締まるなら、猛烈な反発を招き収拾できなくなる可能性がある。だからといって、いつまでも放任してはいられない。なぜならば、その矢先の多くはずばりと中共の一党独裁に向けているからである。

水滸伝の英雄好漢たちは、梁山泊を占拠して宋と対峙していた。今の「山寨」人たちは、水滸伝の英雄好漢に負けずそれぞれ独自の梁山泊を独り占めし、現代神器ITをもって悪ふざけしつつ中共生存の基盤を大きく揺るがしている。今後、「山寨」人たちはいかに結集し、いかなる新しい「山寨文化」を造り出していくかは注目に値する。