乳児期に受けた母親の愛情、成人後のストレス耐性に影響=米研究

米デューク大学(Duke University)の研究チームは、乳児期に受ける母親からの愛情が、成人後の人生にどのような影響を与えるかについて調査を行った。その結果、生後1年未満の乳児期に、母親から受けた愛情が多ければ多いほど、成人後、ストレス耐性がより強く、情緒不安定に陥りにくいことが分かったという。

 研究チームは、ロード・アイランド州立共同周産期プロジェクトのデータをもとに、幼少期(8ヶ月頃)から成年期(平均:34歳)に入った482人を対象に調査した。被験者の幼少期と青年期の記憶と情報について、90の質問からなるチェックリストを通して情緒の起伏を分析し、乳児と母親の関係と成人期のメンタルヘルスを総合的に評価した。

 その結果、乳児期に母親から受けた愛情・関心・保護は、その後の人生において、多大な影響を与えていることが分かった。研究チームを率いるジョアンナ・マセルコ(Joanna Maselko)研究員によると、母親の愛情を十分に受けた子供は、成人になったとき、積極的に人生観を養うようになり、情緒が安定し、社交上手な人間になるという。

 また、母親の愛情が情緒を安定させることについては、英国で行われた別の研究でも実証されている。それによると、子どもがストレスを強く感じる時、母親の声と母親とのスキンシップが、ストレスを和らげる働きがあったという。

 その実験とは、複数の7~12歳の女児に大衆の前でスピーチをさせ、子どもたちにストレスを与える。ストレスのレベルを表す副腎皮質ホルモンのコルチゾールの分泌量が増加していることを確認した後、女児たちを3つのグループに分けた。第1グループは母親になでられ、ハグ、キスなどのスキンシップを受けさせる。第2グループは、母親と電話で話し、声を聞かせる。第3グループには、子供向けの75分間の映画を見せた。

 それぞれのコルチゾールの分泌量を測定した結果、第1グループは30分後にコルチゾールの分泌量が正常に回復し、第2グループの同分泌量は1時間後に正常値に回復した。しかし、第3グループの同分泌量の回復は、第1・第2グループよりかなり遅かったという。

 これらの研究から、母親が関心を寄せ、愛情を注ぐことによって、子どもたちは精神的に落ち着くようになり、情緒が安定することが分かった。健康的な精神を持つ大人になるには、乳児期から母親の愛情をたっぷりと与えられることが重要である。
 

 (翻訳編集・豊山)