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子どもの「2型糖尿病」が増加中――家庭でできる予防ガイドを専門医が解説

代謝健康をマスターする  第 1 話

国連児童基金(ユニセフ)がこのほど発表した最新の報告書によると、世界では現在、「肥満の子ども」の数が「低体重の子ども」を上回る状況となっています。世界全体で見ると、およそ1億8800万人の子どもや若者が、過体重または肥満の状態にあるとされています。そして医師たちは、かつては考えられなかった新たな傾向に気づき始めています――それが、子どもにおける「2型糖尿病」の発症です。

小児内分泌科医のマイカ・オルソン医師は、「25年前、私が医学生だった頃、教授たちは『子どもは2型糖尿病にはならない』と教えていました。しかし今では、それが『当たり前』の現実になってしまいました」と語ります。診察している患者の多くは10〜13歳ですが、中には6歳で発症するケースもあるといいます。

肥満治療を専門とするエヴァン・ナドラー医師も警鐘を鳴らしています。「子どもや思春期の若者は、大人に比べて非常に早いスピードでインスリン抵抗性が進行し、2型糖尿病に至ることがあります。その結果、失明や足の切断といった重い合併症に、数十年も早く直面するリスクが高まる可能性があります」
 

子どもの代謝危機:3つの現代的要因

生物学的な要因に加え、生活環境や生活習慣の変化が重なり合うことで、2型糖尿病の低年齢化が進んでいると考えられています。

【要因①】食卓を占領する「超加工食品」

現代の食生活は大きく様変わりしました。現在、子どもが1日に摂取するカロリーの約70%が「超加工食品」由来であるといわれています。さらに、幼児期の子どもでは、摂取カロリーのおよそ半分が、「子ども向け食品」とされる甘味ヨーグルト、朝食バー、クッキー、箱入りのマカロニチーズなどから得られているとされています。

【要因②】運動量の減少と「スクリーンタイム」の増加

現代の子どもたちは、運動量が大きく減少する一方で、スクリーンの前で過ごす時間が急増しています。青少年の平均的なスクリーンタイムは1日8時間を超え、幼児でも2時間以上になることが少なくありません。こうした長時間のスクリーン使用が、代謝症候群やインスリン抵抗性に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

【要因③】ストレス、睡眠の乱れ、そして環境ホルモン

学業やSNS、人間関係などを背景に、現代の子どもたちは慢性的なストレスにさらされがちです。また、過度なスクリーン使用や夜更かし、屋外活動の不足によって体内時計が乱れ、成長期の代謝機能に影響を及ぼすこともあるとされています。

さらに、フタル酸エステルやビスフェノールA、一部の農薬などに含まれる内分泌かく乱物質(環境ホルモン)への曝露も、状況を悪化させる要因の一つと考えられています。

潜在的リスク:「肥満の世代間連鎖」

ナドラー医師は「肥満の世代間伝達」という考え方を提示しています。これは、子どもの代謝リスクが、母親の妊娠前や妊娠中の食生活や健康状態の影響を受ける可能性がある、というものです。現在の食事内容だけが原因なのではなく、世代を超えて代謝リスクが引き継がれる場合があると指摘しています。
 

家庭でできる「子どもの糖尿病予防」行動ガイド

専門家たちは、「子どもの2型糖尿病を防ぐための鍵は、家庭の中にあります」と口をそろえます。自分自身と家族を思いやり、日々の意識を少しずつ変えていくことが、何より大切な第一歩になります。

ステップ①:早期サインを見逃さない

代謝に負担がかかり始めている初期のサインを、できるだけ早い段階で見つけることが重要です。特に、糖尿病や肥満の家族歴がある場合は注意が必要です。オルソン医師は、「最初に現れやすいのは体脂肪の増加で、BMI(体格指数)の変化として表れます」と説明しています。

またナドラー医師は、腹部周囲の内臓脂肪の増加や、首まわりに見られる黒っぽいビロード状の皮膚変化である「黒色表皮腫(こくしょくひょうひしゅ)」も、警告サインの一つになり得ると指摘しています。

経験豊富な小児科医であれば、家族歴や身体的な兆候から、血液検査やBMIの数値を確認する前に、インスリン抵抗性の兆しを察知できることもあるといいます。

ステップ②:糖分を控え、食生活を整える

『Science』誌(2024年)に発表された研究では、生後1000日以内の糖分摂取を抑えることが、将来的な2型糖尿病の発症リスク低下につながる可能性があると報告されています。

また、日々の「食習慣」も重要なポイントです。オルソン医師は次のように述べています。「『常におやつを食べる』という考え方は、比較的最近になって広まったものです。1日3食を基本とし、間食を控えることで、子どもにとっては『短時間の断食』に近い状態となり、結果として必要以上のインスリン分泌を抑えることにつながる可能性があります」

ステップ③:行動療法と医療的サポートを併用する

生活習慣の改善だけでは難しい場合、行動療法を医療的な支援の一環として取り入れることが検討されることもあります。GLP-1作動薬(例:オゼンピックなど)は、血糖値や食欲のコントロールに役立つ可能性がある薬剤として知られています。

ナドラー医師は、「子どもを病気から守るためには、まず親自身が健康であることが大切です」と助言しています。

長期的な研究によると、子どもの頃に肥満であっても、成長後に健康的な体重を維持できた場合、代謝リスクは肥満経験のない人と同程度まで下がる可能性があることが示されています。つまり、早い段階での適切な関わりが、将来の健康に大きく影響すると考えられるのです。

(翻訳編集 正道勇)

ニューヨークを拠点とする健康レポーターである。栄養療法の専門家であり、機能的栄養と自然食品に重点を置いた活動を行っている。