歩く石の謎 NASA最新調査発表

【大紀元日本9月17日】米カリフォルニア州デスバレー(Death Valley)国立公園内のレーストラック・プラーヤ(Racetrack Playa)と呼ばれる干上がった湖底に、不思議な移動する石がある。セーリング・ストーンズ(Sailing stones)と呼ばれるこれらの石が移動した跡は時に数十キロ~数百キロにおよぶが、誰もそれらが移動する瞬間を見たことがなく、謎は未だに解明されていない。動く石に関する調査レポートが2日、アメリカ航空宇宙局(NASA)のウェブサイトで発表された。

石が自然に移動する現象については、既に1940年代に、ネバダ州とカリフォルニア州の干上がった湖底で科学者らが発見している。移動の原因について、これまでに動物の助力、地球の引力、地震などの推測が挙げられたが、全て否定された。今年の夏、NASAのゴダード宇宙飛行センター(The Goddard Space Flight Center)の科学者と研究生らが、動く石についての調査を行った。

調査隊は5つのグループに分かれ、3か月前にプラーヤに埋めておいた測定器を掘り出して温度と湿度を記録。更に、石が移動した軌跡を写真に収め、その長さ、深さ、幅などを測定した。この調査により、一部の大きな石は、小さい石より遠くへ移動していることが分かった。また、石は下り坂を利用して移動すると推測されていたが、この測定結果によると、石は上り坂を登っているという。

また、調査隊は、一部の軌跡の終点に盛り上がった土があることを発見した。更に不可解なのは、その場所から石が消えていること。石の行方を探ろうと、磁場や放射線の測定を行ったが、行方は分からずじまいだった。更なる分析のために調査隊が立ちあげたウェブサイト(www.racetrackplaya.org)には、誰でも動く石の写真を投稿できる。

調査隊によると、移動する石の重量は14キログラム前後が最も多く、最大級のカレン(Karen)と名付けられた石は、推定317キログラムもある。

石の移動の原因として、ひとつ挙げられるのは、風。しかし、調査に参加したアンドリュー・ライアン氏は、数百キロもある石が移動するには、時速240キロ以上の強い風がなければ不可能だと話す。そのため、今回の調査は、石と湖底の泥の間の摩擦が少なくなった要因について焦点を絞ったという。

それによると、干上がった湖底が水分を含んで泥になった時、石と泥の間の摩擦が小さくなる。また、泥が水分を含むと土の中の藻類が繁殖し、これがさらに摩擦力を減少させたと推測している。学生らは吸水実験を行い、この推測を実証した。しかし、摩擦力の他にも、移動の原因があると学生らは考えたという。

もう1つの仮説は、氷。このデスバレーは高所にあるため、冬には氷点下となる。湖底に流れ込んだ雨が凍ってできる氷床が石の下部を包み込み、石が水に浮かぶ。そこへ風が吹いて、石が移動するという説だ。この仮説が正しければ、一部の石の軌跡の幅が、狭いものから徐々に広くなっていることを説明できる。石を包む氷床が徐々に溶ければ、それだけ石が泥に沈んでいく面積が大きくなるからだ。

しかし、これらの仮説はまだ完全に実証されてない。移動する謎の石の調査は、引き続き行われる。

 (翻訳編集・豊山)