大唐の古都から神韻の舞台へ

【大紀元日本9月20日】第5回「全世界中国舞踊コンテスト」の決勝が10月にニューヨークで行われる。そのポスターを飾るのは、同コンテストで2年連続金賞に輝いた王琛(ワン・チェン)のしなやかで美しい舞姿。

2009年のコンテストで、彼女は古代の女侠を演じた。側転や跳躍を連続して繰り広げるさっそうとした英姿の中にも柔らかさを帯び、熟達した舞踊技巧と生き生きとした表現力によって、金賞を勝ち取った。

「私の性格は正に女侠のようで、一本気で正義を好む。ただ、女性的なやさしさの一面もあわせ持っており、力強さの中にも柔らかさがある」。自分のことをこのように話す。

第5回「全世界中国舞踊コンテスト」のポスター

11歳の時に舞踊の本格的訓練を始めた王琛は、2007年にニューヨークで開かれた第1回「全世界中国舞踊コンテスト」に参加した。当時まだ13歳であった。

その時は本選には進めなかったが、優れた身体条件やしなやかさが、ニューヨークの飛天舞踏学院の先生たちの目に留まり、コンテスト終了後すぐに学院への入学が決まった。新たな成長の場を提供された彼女は、数年後、世界的に著名な神韻芸術団のプリンシパル・ダンサーへと成長した。

神韻とともに伝統を復興

神韻の舞台で王琛は、時には水上の仙女に扮し、時には女傑を演じるが、練習場では他のダンサーと同じく、芸術と人生の境地において、骨身を惜しまず、絶えずあるべき姿を追い求めている。

側転、前転、跳躍など、舞踊技巧に関し、王琛は一際秀でている。中国古典舞踊では高難度の回転や跳躍が求められるが、彼女はそれらを毎日100回以上練習する。

「どの技もそれぞれ独自の内包があり、今日はうまくできたからといって明日もその趣きをうまく表現できるとは限らない。そのため、毎日何度も練習しなければならない」

この過程は間違いなく辛いものであるが、彼女は「ケガをしたことも、転んだこともある。辛い時も楽しい時もある。神韻ではみんなが互いに励ましあっている」と話す。

王琛によると、先生はダンサーに常々「中国舞踊では正統な内包がなければならない」と求める。現在の中国では、多くの舞踊が変異し、現代舞踊と混在してしまった。神韻芸術団は伝統の復興を目指しており、そのため、ダンサーに求められる内包は正統でなければならず、純正の中国古典舞踊を表現しなければならない。

この種の「正統な内包」を表すには、優雅で精確に舞うだけでなく、内面の純粋さと精神の昇華が大切である。

「先生は私たちによくこんなふうにおっしゃいます。普段の練習の様子がそのまま舞台に表れる。だから、練習の時も必ず純善・純美の心で行わなければならない。わざとらしくてはだめで、焦らず媚びず、楽しい心持ちを保たなければならない。このようにすれば、舞台で表されるものは最も純粋で最も美しいものとなり、観客は自ずと最もすばらしいメッセージをそこから受け取ることになる」

神韻公演がなぜ世界中の観客の称賛を勝ち得ているのか、彼女のこのことばがその答えとなる。

すばらしい心持ちを保つ

インタビューで、王琛は公演や訓練のことについていろいろと話してくれたが、そのことばの端々から、喜びと平静さが感じられる。彼女が言うには、コンテストの表彰台に立った一瞬だけでなく、また、劇場の万雷の拍手の瞬間だけでなく、神韻芸術団での毎日が自分の舞踊芸術を精練し、人生の境地を高めてくれる。

「コンテストは賞をもらうためではなく、名誉のためでもない。それにいたる全過程で自己を高めることができる。舞踊の技巧だけでなく内面的にも高まるし、人との関わりの過程でも自己を高めることができる」

また、常日頃すばらしい心持ちを保つことが大切だと話す。「例えば、練習の時、演技がうまくできなければいらいらしてくる。そんなとき、ゆっくりと心を落ち着けて考え、すばらしい心持ちを保とうと心がける。何事もそのような態度で臨めば必ず解決できる」

2007年に生まれ故郷の古都・西安からニューヨークの「全世界中国舞踊コンテスト」に参加することによってもたらされた新たなチャンスによって、王琛は今、神韻の仲間たちと世界の大都市を巡り、一流の劇場の舞台で中国古典舞踊を演じる。きらびやかな現代社会の誘惑があり、一方で芸術における輝かしい成果があるにもかかわらず、彼女は今も自らの追い求めるべきものを決して忘れることはない。

「今、社会は乱れており、誘惑も多く、伝統を保つことはとても難しい。でも、私たちは決して波に流されてはならない」

これまでコンテストに何度も参加したことがあり、多くの経験を積んできているが、王琛は常に自分に言い聞かせている。「今後の道のりはまだまだ長い。謙虚な心を保ってこそ、さらに自己を高める空間が生まれる」

※新唐人テレビ主催の第5回「全世界中国舞踊コンテスト」は、アジア予選が8月18日に香港で行われ、5名が選ばれた。北米予選と、アジア予選通過者を含めての本選は10月25日~27日の間、ニューヨークで行われる。

 (文・方若初、翻訳編集・瀬戸)