【ぶらり散歩道】ー長野篇ー 筑摩(つかま)神社の夏祭り

【大紀元日本9月19日】JR松本駅お城口を出て松本駅前通りを真っ直ぐ東へ行くと、あがたの森公園に突き当たる。そこを右折して薄川を渡ると、樹齢400年ほどの欅の巨木に囲まれた筑摩神社に着く。

筑摩神社は、794年(延暦13)京都の岩清水八幡宮から分霊されたことが起因とされ、松本に信濃国府が遷府されると国府八幡宮と言われるようになった。

本殿(国重文)は1436年(永享8)に戦乱で焼失して、1439年(永享11)に小笠原政康によって再建されているが、室町時代の建築様式がそのまま残っている。1930年(昭5)に旧国宝の指定を受けている。拝殿は1610年(慶長15)に石川康長が寄進しているが、桃山時代の手法が残されているのが見てとれる。また、松本で最古と言われる安養寺(廃寺)の銅鐘は、1514年(永正11)に小笠原長棟が寄進したもので、現在は筑摩神社の境内にある。

筑摩神社の例大祭は、8月10日(宵祭)、11日(本祭)に行なわれる。宵祭は松本名物夏の花火大会で、神社脇の薄川から打ち上げられる花火に薄川堤の多くの見物客はもちろん、周囲の家々から眺める家族たちも大いに楽しむことができる。本祭は、2隻の船が社殿の周囲を3周して勝ちを競う神事である。戦後は人手不足のため、1961年(昭36)から小形の船を造って、筑摩、筑摩東両町会の子どもたちが担いで、お船神事を継続している。子どもたちにとっては、お祭りに参加できる楽しい一日でもある。

今年は2日間とも晴天に恵まれて、宵祭も本祭も滞りなく無事終わった。

境内の一隅には日露戦争の記念碑も

“国宝記念”の字も見える大灯籠

小形になった2隻のお船

石灯籠脇におみくじ

“鳴らずの鐘”と呼ばれる銅鐘

三間社流造り、屋根は桧皮ぶきの本殿

入母屋造り、屋根は杮ぶきの拝殿

朱の鳥居の先に拝殿

(江間十四子)