死後の世界はあるのか―? 古代から解き明かされたことのない究極の謎です。善人は天国へ行き、悪人は地獄へ行くのでしょうか。あるいは、人間は輪廻転生を繰り返すのでしょうか。科学者たちが死後の世界の研究を始めたのは、70年代になってから。この分野の先駆けとなった科学者たちからの報告をご紹介します。

 ケース1 ジェーン・エバンズ

リューマチに長年悩まされていた32歳の主婦ジェーンは、「リューマチは心理的な問題です」というポスターを目にし、催眠療法士のアーノル・ボルクスマン医師(Arnall Bloxham)の元へやってきた。ジェーンは、ボルクスマン医師の療法により、6回の異なる過去世を見ることができた。古代ローマ時代の教師、12世紀のイギリス・ヨークで迫害されたユダヤ人、中世のフランス商人の召使い、キャサリン・オブ・アラゴンの使用人、アン女王が統治していた時代のイギリス・ロンドンの貧しい使用人、19世紀アメリカの修道女・・・。

 ボルクスマン医師はジェーンの他に、400人に上る患者の録音テープを保持し、それらを慎重に検証した結果、輪廻転生は事実であることを確信したという。その後、BBCのプロデューサーだったジェフリー・イヴァーソン(Jeffrey Iverson)はジェーンとボルクスマン医師の特集番組を制作し、話題を呼んだ。イヴァーソンはボルクスマン医師が催眠を行った患者の記録を検証し、「たくさんの転生」(More Lives Than One?)という本を出版している。

 ケース2 カタリ派のグループ

1962年、イギリスのバースで、精神科医として病院に勤務していたアーサー・ギルダム医師(Arthur Guirdham)はある日、診察に訪れたある女性に注目した。この患者は美しい、普通の若い女性だったが、十代の頃から頻繁に同じ悪夢を見るようになり、今では週に2、3回は同じ夢を見ると話す。 その夢というのは、彼女が床の上で仰向けなって寝ていると、男が後ろから近づいてくるというものだった。その後に何が起きるのかは分からなかったが、身の毛のよだつほど恐ろしい夢だと女性は話した。

 ギルダム医師はその時、表面的には冷静さを装っていたが、心の中では非常に驚いていた。なぜなら、ギルダム医師も、全く同じ夢を見ていたからであり、その悪夢に30年以上も悩まされていたからだ。ギルダム医師は、自分の夢については彼女に告げなかった。しかし、不思議なことに、二人は出会った後、再びあの悪夢を見ることがなくなった。

 その後、ギルダム医師は彼女と何度か面会し、彼女には精神的に何の問題もないこと、また歴史に対する深い知識を持っていることが分かった。彼女は人物の名前が書かれたリストをギルダム医師に渡し、彼らは13世紀に実在していたと伝えた。そして、ギルダム医師も、その時代に生きていた人物の一人で、名前はRogiet de Cruisotだと彼女は言った。

 女性の話に興味を持ったギルダム医師は、独自に調査を始めた。すると、彼女がくれたリストにある人物は、実際に中世の時代に存在していたということが、フランス語の古文書によって分かった。この文書は、英語に翻訳されておらず、女性がこの文書を理解できるはずがなかった。ギルダム医師が確認した名前は皆、中世の時代にフランス南部とイタリア北部で広がったカタリ派という信仰団体に関係していた。キリスト教の一派であるカタリ派は輪廻転生を信じ、当時は異端として迫害を受けていた。その後、彼は次々に過去の記憶を持つ人々に出会い、そのうちの数人は彼の周りで同僚として働いていた。彼らは中世の時代、カタリ派として共に暮らし、異端審問を受けて火あぶりにされたという共通の記憶を持っていた。彼らは薬や催眠を使わなくても、過去の名前や出来事をすぐに思い出すことができたという。

 ケース3 スリランカの女の子

ヴァージニア大学の精神医学者イアン・スティーブンソン教授(Ian Stevenson)は、世界中を旅して輪廻転生についての調査を行った。200件のケースのうち、スティーブンソン教授の検証に合格したのは、20件ほど。そのひとつは、スリランカからの報告だった。1956年、スリランカに生まれたある女の子は、話す年齢になると彼女には他の父と母がいると言い出した。彼女には更に他の2人の兄弟がおり、たくさんの姉妹がいると言った。家族は、彼女の話から、少し離れた場所に住む家族を探しあてた。この家族は、1954年に息子を亡くしていた。少女はその家族の元を訪れると、自分はその亡くなった息子であると話し、家族の名前をひとりひとり正確に言い当てることができた。しかし、それまでに二つの家族はお互い顔も知らなかったという。
 

(翻訳編集・郭丹丹)