【ぶらり散歩道】 上野清水観音堂

【大紀元日本3月16日】JR上野駅(不忍池出口)から歩いて8分、高村光雲作の犬を連れた西郷隆盛の銅像の裏手に清水観音堂が建っている。清水観音堂は寛永寺を開創した天海が、京都清水寺を模して1631年(寛永8)に創建したものである。堂宇は桁行5間、梁間4間、単層入母屋造り、本瓦葺きで、不忍池を臨む正面の舞台造りは、江戸時代から浮世絵に描かれるなどの素晴らしい景色で、四季それぞれの良さが味わえる。私の好きな季節は、なんと言っても上野の山が桜一色になるころである。堂前で見過ごしてはならないのは、歌川広重の名所江戸百景の「月の松」を模した作品だろう。日本人の繊細な仕事振りがうかがえる一つである。

いまやどこの堂宇に行っても千手札が貼られているが、ここには貼られていない。向かって左側に、お寺の方が詰めておいでであるからか。正面に「撮影禁止」の看板が置いてあるので遠くからそっと撮影したが、光量不足できれいに撮れなかった。

本尊は千手観音坐像で、京都清水寺から奉安されたものである。秘仏で厨子内に安置されているが、毎年2月初午の日のみ開扉される。脇本尊の子育観音は子どもに関する願いを持つ人々の信仰を集め、願い事が成就したときは身代わりの人形を奉納している。毎年9月25日には奉納された人形を供養する行事がある。

そろそろ桜が待ち遠しい季節になった。上野の山を下りて、不忍池を巡ってから帰りたいものである。

初冬に咲き始めた桜

観音堂の裏にあった堂々とした石灯籠

観音堂の小さな庭

輪を通して見る不忍池弁天堂は素晴らしい

高台にある正面から見た観音堂

(江間十四子)