ロシアは1970年、観光産業の強化による戦略の一環として、観光ルート「黄金の環ゴールデンリング)」を設けました。明るく色鮮やかなロシア宮殿古城大聖堂などをめぐるルートは、歴史や伝統的な建築を好むツーリストに大人気。おとぎ話にでてくるような建築物を目当てに、多くの観光客が訪れています。

首都・モスクワの北東近郊に、リングを描くように位置するウラジーミル、スーズダリ、セルギエフ・ポサード、ペレスラブリ・ザレスキー、ロストフ、ヤロスラブリ、イヴァノヴォ、コストロマ。それぞれの観光名所に、ロシアの世界文化遺産が多く残っています。幾つかの名所をご紹介しましょう。

 ペレスラブリ・ザレスキー

1152年、敵の侵入から守る前哨要塞として作られた古い町。のべ2.5キロ、高さ10メートルの堤防と壕に囲まれています。要塞の横に建てられた大聖堂は、ロシア最古の教会の一つ。

ペレスラブリ・ザレスキー城 (Belliy/Wikimedia Commons)

スーズダリ

1024年に建てられたロシア最古の都市の一つ。面積は10平方キロメートルしかないが、200以上の著名な歴史文物が保存されています。ここには鉄道や車道、化学工場などの近代産物は一切なく、大気汚染もないことで有名です。

スーズダリのクレムリン宮殿 (Ludvig14/Wikimedia Commons)

ウラジーミル

かつてルーシ・カガン国の首都として栄え、多くの歴史文化遺産が市内に集中した場所。世界文化遺産に登録されています。旅行者を出迎えてくれるのが12世紀に建てられた代表的建築「ゴールデン・ゲート」で、城に入るための城門の一つ。ここは外国からの使者や著名人をもてなす場所としても使われました。

ウラジーミルには数十軒の古い教会と修道院があり、異なる基調でこの地の古くからの文化を彩っています。

 

ウラジーミル城 (Miksam69/Wikimedia Commons)

セルギエフ・ポサード

1337年、セルギー・ラドネシスキー司祭が小さな木造教会を建てたことを起源として成長し、やがて修道院が宗教文化の中心となり、大都市にまで発展しました。聖像画家アンドレイ・ルブリョフが描いた「至聖三者」(聖三位一体)の原画は、当初ここで世界文化遺産に登録された至聖三者聖セルギイ大修道院に保管されていました。

19世紀の至聖三者聖セルギイ大修道院(ウィキペディア)

 

至聖三者聖セルギイ大修道院に収蔵されている
アンドレイ・ルブリョフの「至聖三者」聖像画(ウィキペディア)

 

セルギエフ・ポサードの至聖三者聖セルギイ大修道院内にある
至聖三者大聖堂(ウィキペディア)

セルギエフ・ポサードにあるもう一つ有名な場所が、チェルニーヒウ州のゲッセマネ修道院です。8世紀に修道院に改変されました。かつて修道士が信仰生活を送った洞窟内の部屋を見ることができます。現在、修道院の食堂は旅行者たちにも開放されており、リーズナブルな値段で食事ができます。

セルギエフ・ポサードは、ロシアの民芸品マトリョーシカ人形の発祥地でもあります。玩具博物館ではマトリョーシカ人形の絵付け体験ができます。

ロシアの民芸品マトリョーシカ人形(ウィキペディア)

(翻訳編集・豊山)