中国古代書籍上の小人伝説

日本では「一寸法師」、「かぐや姫」など、現在の人類より遥かに小さい人種の「小人」を主人公とした物語があり、古き中国にも小人に関心を持つ人たちがいて、それを書籍の形で後世に残しています。その中でも一番古いものは約2千年も前に書かれたものです。

『山海経(せんがいきょう)』

約2千年前に書かれた世界最古の地理書『山海経』には小人の国について次のように記載されています。「東方に小人の国があります。彼らの身長は9寸ぐらいで、カモメに食べられることがあるので、単独では行動しません」

『太平広記(たいへいこうき)』

漢文の教科書に載っている「山月記」などで知られる『太平広記』にも小人についてつづられています。「西北海戌亥(いぬい)の方角に鶴民国があり、そこの住民たちは谷川のみずぎわに城を建てて住み、その広さは30歩から50歩ほどです。彼らは1日に千里も走れます。身長は3寸ぐらいで、よくカモメに食べられてしまいます。そのため、木で自分たちと同じ形の人形をたくさん作って野外に置きます。すると、カモメは人形を小人と間違えて食べて、窒息してしまいます。これを繰り返していくうちに、カモメは小人を食べなくなりました」

『閲微草堂筆記(えつびそうどうひっき)』

マンガや小説の題材にもなった『閲微草堂筆記』には、地名までも記述されています。「ウルムチ(新疆地域)の山奥では、放牧者が1尺ぐらいの小人をよく見かけます。御柳(ギョリュウ)の花が咲く時期になると、小人たちはその枝を折って丸くあんで帽子を作り、それを頭にかぶってみんなで踊ります。時には放牧者のテントに潜り、ものを盗むこともありますが、捕まるとすぐにひざまずいて泣き、縄で縛ると物を食べずに死んでしまいます。放してもすぐには走って逃げず、ゆっくりと歩いて離れるのです。だいぶ遠く離れてから走りだし、山奥に逃げ込みますが、住んでいるところは誰もわかりません」

丞天錦(じょうてんきん)が派遣されて牧場を巡視した際、捕獲した小人をもらって観察してみると髪も眉も人間とそっくりでした。こうしてみれば「山海経」に記録された小人の話は間違いなく事実です。

(翻訳編集・啓明)