大紀元時報

【子どもに聞かせたい昔話4】 アリとぞう

2019年02月12日 17時55分

あるお天気のいい日のこと、一匹のアリが葉っぱの上でくつろいでいると、ふいに葉っぱからすべって下の池に落ちてしまいました。

「助けてー」とアリは大きな声で叫びました。近くに浮いていた小枝になんとかつかまることができましたが、岸までは泳いでいけそうにありません。

「だれか助けてー」とアリがまた叫んでいると、カメが近くを歩いていました。

「カメさん、 岸まで連れて行ってください」

「そんなことをしていたら昼寝する時間がなくなってしまうよ。ぼくは忙しいんだ」そう言うと、カメはふとしたことであお向けにひっくり返ってしまい、もとに戻れなくなりました。

「だれか助けてよー」とカメが叫んでいると、カラスが近くを飛んでいました。

「カラスのおばさん、もとに戻れるように手伝ってよ」

「わたしゃ忙しいんだよ。卵を温めなくちゃ。ああ忙しい、忙しい」とカラスは木の上の巣に戻りました。すると、そのはずみで卵が地面に落ちてしまいました。

カラスはハッとしましたが、卵は無事でした。カラスは卵をくわえて巣に戻そうとしますが、卵はくちばしからすべり落ちてしまいます。ようやく口に入れることができると、こんどは飛ぶことができません。すると近くにキリンが歩いてきました。

「キリンさん、あなたの頭の上に乗ってもいいかしら。卵を巣にもどしたいのよ」

「いやよ、そんなことをしたら私の頭がよごれるもの」こう言って、キリンは気取った足どりで立ち去ろうとしましたが、足が地面のつるにからまって動けなくなってしまいました。すると近くをライオンが通りかかりました。

「ライオンさん、つるから抜けられるように助けてほしいの」

「いま散歩中で忙しいんだ」とライオンは誇らしげに歩きつづけようとしましたが、しっぽが大きな岩にはさまって取れなくなりました。

「おーい、だれか助けてくれよー」そこへサイがやってきました。「サイさん、この岩をどけてくれないかい」

「お返しに何をくれる?」サイはたずねました。

「うーん、えーと」ライオンはとっさに答えられません。

「まったく、この忙しいときにただで助けると思うのかい」とサイが立ち去ろうとすると木にぶつかりました。そのひょうしに角が木に突き刺さってしまいました。「まずい、抜けなくなった。だれか助けてー」

そのときゾウが、アリの落ちている池のそばを通りかかりました。

「ゾウさん、忙しいと思うけど、岸まで運んでくれませんか」アリは頼みました。

「おやすいご用だ。さあ、わしの鼻に登りなさい」アリは無事に岸にたどりつきました。

「どうもありがとう」アリはゾウに言いました。

ゾウは、カメもカラスもキリンもライオンもサイもみんな助けました。しかし、アリ以外の動物から「ありがとう」とお礼を言われることはありませんでした。

ゾウは立ち去りながら、満足してこっそり思いました。「みんな間抜けだから、結局はわしを頼りにするんだな」

するとゾウは道のくぼみにはまってしまいました。くぼみはそれほど深くありませんが、からだが重いので出られません。彼は助けを求めて夜まで叫びつづけました。「だれか助けてくれー」

その声は森じゅうに響きわたりました。森の動物たちはみんな聞こえていましたが、助けに行きませんでした。めんどくさく思ったのです。

しかし、この次々とつながっていった出来事の始まりだったアリだけは違いました。

「ぼくがゾウを助けるぞ」アリは力強く言いました。

「米粒みたいに小さいアリがゾウを助けるだと? ハッハッハ」ライオンは大笑いしました。

さっそくアリはたくさんの仲間を呼びあつめ、ゾウの鼻の中に入って鼻をくすぐりました。ゾウは大きなくしゃみをし、そのはずみでくぼみから跳び出ることができました。

「アリさん、助けてくれてありがとう」ゾウはお礼を言いました。

その後、アリとゾウは仲良く暮らしたということです。

(Ancient Tales of Wisdomより)
(翻訳編集・緒川)

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