【紀元曙光】2020年3月19日

ブーメランというと、昭和中期の男の子であれば、おそらく共通の思い出がある。駄菓子屋で売っていた、あのプラスチック製の「く」の字である。
▼昨今のブーメランは少々意味が違う。多くは政治の世界で、弁舌激しく追及している質問者が、答弁する側にその矛盾を鋭く突かれ、投げたブーメランが自分に当たって恥をかくことを言う。
▼中国は特大のブーメランを投げまくるのだが、それが反転して自分に衝突しても、まるで恥じるところはない。その厚顔ぶりにはあきれるが、中国に対峙する日本および各国は、彼らの陽動に振り回されず、ブーメランをつかんで投げ返すほどの毅然たる姿勢を示すことだ。
▼中国外交部報道官の趙立堅氏が12日、ツイッターに「米軍がウイルスを中国に持ち込んだのかも知れない」と英語で投稿した。もちろん意図があっての「吠え犬」に違いない。それにしても中国では、ただの外交官僚が、一般には規制されているアカウントを作って「個人的」に発信するのかと、小欄の筆者はなんとも不思議に思う。
トランプ大統領は、そんな下っ端連中の挑発には乗らず、「習も俺もウイルスの出所を知っている。彼らも知っているはずだ」と、凄みを効かせた。米国は昨年11月、香港人権民主主義法案を全会一致で可決、香港の民主化要求デモの支持を表明している。
▼近年で、中共が見誤った最大のものといえば、昨年の香港における市民の頑強な抵抗であろう。中国は大軍を境界線に集結させて恫喝したが、香港市民は屈しなかった。米国・香港タッグの、堂々たるブーメラン返しであった。