「これ、本当の数字じゃねえんじゃねえの」。中国政府の示す「死亡者数」に、ポロリと言うところが、麻生さんらしくて、いい。
▼政治家のこうした発言は、時に失言とされる場合もあるが、逆に、蕎麦にかける七味唐辛子のように、いい味を出すこともある。ポロリと言う場面を、きちんと計算しているならば、武道でいう「間合いをよむ」に近い。ただし、これには練達の話術と、その政治家のキャラに合っていることが前提となる。
▼昨年、何を言っても失言になる五輪パラ担当大臣がいた。あの人は、苦労人で、それほど人物がわるいわけでもないらしい。ただ、しゃべると馬脚を露すという、閣僚として(政治家としてか)致命的な欠陥があった。
麻生太郎さん。現在は副総理、財務大臣、金融担当大臣の三役を兼任。1976年、モントリオール五輪のクレー射撃競技に出場。べらんめえ調で、口がわるいが、悪役キャラに合っているせいか、さほど気にはならない。日本の政治家としての評価を小欄に述べるつもりはないが、仮に中国共産党の視点からすると、こういう人は嫌われる。
▼中共に嫌われるのは、大いに良いことだ。逆に、中共と親密になっている日本の政治家は、非常に危ない。骨までしゃぶられて日本の国益を損ねるし、第一、そういう政治家がいると、中共ウイルスを再び呼び込んでしまう。
▼中共ウイルスに関係して、麻生さんが、欧米主要国に比べて日本の死者が極端に少ない理由について述べた。「国民の民度が違うから」。この正答に、日本の野党の政治家が文句をつける。不思議な国だと思う。