【紀元曙光】2020年6月22日

(前稿に続く)つまり、五千年近く続いてきた中華文明あるいは伝統文化は、1949年の中共政権によって断絶したのである。
中国共産党は、中華文明の正統な継承者たる資格を、全く有しない。外来思想である共産主義と、毛沢東という、多くの政敵を殺すことで権力を掌握した中国的覇者が結びついてできた中共は、中原の大地を汚染する恐るべきウイルスだったのである。
▼毛沢東は、野盗あがりの無学ではなく、膨大な読書によって豊富な知識をもつ人間である。彼の場合、その知識を冷酷に使うので、逆に恐ろしい。詩歌の一種である詞(ツー)も作る。それらの作品が無駄に高く評価され、「20世紀を代表する大詩人」などと呼ばれたため、知りもせずに「偉大な指導者」の虚像が、かつて日本でも定着してしまった。
▼戦時ではない平時に、8千万もの自国民を異常死させた。それが20世紀後半の中国大陸で起きた真実である。近代以前の中国史において、数十万、数百万といった飢餓の流民を出すことはあったが、政治の失策によって数千万を餓死させることはなかった。狂気のイデオロギーによって、子が親を密告し、学生が教師を殺害することもなかった。
▼国共内戦に敗れて台湾に渡った蒋介石は、重要な点において、共産党軍に完全勝利している。北京の紫禁城(故宮)の宝物を、軍艦に乗せて台湾に運んだことだ。
▼今の北京に残っているのは2級品以下のものばかりで、秀逸品は台湾の故宮博物院にある。日本史ならば「三種の神器」を敵に渡さなかったということだ。毛沢東は、地団駄を踏んで悔しがったに違いない。(次稿に続く)