「お米の浸し水」捨てずに利用を 血糖値を下げてダイエットも

家庭でご飯を炊く、あるいは豆料理をする際には、米や豆をさっと洗って汚れを流した後、しばらく水に浸しておきます。その「浸し水」は捨てずに、ぜひ利用しましょう。そのほか、血糖値を下げ、ダイエット効果もある5種類の「飲み物」をご紹介します。

中国河南省安陽市にある安陽市腫瘤医院放射線医療科の劉維鵬医師は、血糖値を下げ、ダイエット効果も期待できるとして、次の5種類の「飲み物」を活用することを薦めています。その5種類とは、米の浸し水白湯(さゆ)、コーヒー普洱茶(プーアル茶)、クコ茶です。いずれも日常生活の中でよく見られるものばかりですが、すぐれた健康効果を備えています。

「米の浸し水」の有用性

通常ならば、ご飯を炊く際に、しばらく米を浸した水は捨てて、新しく注いだ水で炊きます。そうすることによって、ご飯の口当たりも良くなりますし、米や豆のなかにあるフィチン酸、タンニン、シュウ酸、アントシアニジンなどの、栄養の吸収を妨げる物質である「抗栄養成分」をある程度、流すことができます。
しかし、糖尿病患者にとって、例えば「米の浸し水」などは、捨てるのは惜しい有益なものなのです。そのような米や豆の抗栄養成分には「抗酸化作用」という保健効果もあり、フィチン酸やタンニンなどは、ある一定の程度ですが、血糖値を下げたり、血中脂肪の上昇を抑制するはたらきがあると言われています。また、アントシアニジンも抗酸化物質であるため、糖尿病患者が併発しやすい血管関係の疾病の発症を抑えるはたらきがあります。
糖尿病患者である方は、消化機能に不調がない限り、ぜひ「米の浸し水」を捨てないで、そのまま炊飯、またはお粥を炊くなどに利用してください。

「お湯を多く飲む」で糖尿病の血管のトラブルを避ける

糖尿病患者の多くが訴える「喉の渇き」。それは、どうして起きるのでしょうか。
もともと、体内の腎臓は、血中のブドウ糖の濃度を調節する「水門」の役割を果たしています。血中ブドウ糖濃度が一定以上になったときに、その水門が開き、余分なブドウ糖が尿中に放出されます。これが尿糖です。
ところが、血中のブドウ糖量が異常に高くなった場合、つよい浸透性の利尿作用がはたらくため、体内の水分が尿糖とともに大量に体外に排出されることになります。すると、血中の血漿濃度が一層高くなり、患者は、口と喉のひどい渇きを覚えるのです。
このような場合、薬物による治療のほかに、「白湯(さゆ)を多く飲む」ことで失った水分を補充し、喉の渇きを緩和することは非常に薦められます。十分な水分を補給することにより、血液の粘度を下げ、糖尿病の合併症として懸念される血管トラブルを予防するのに良い効果が期待できるからです。
こうした積極的な水分補給は、患者の血液循環を改善するとともに、代謝を促進しアセトンを除去する作用も促進できます。そこで制限なく「お湯を多く飲む」ことが奨励されるわけです。

健康な人が長期にわたってコーヒーを飲んでいた場合、糖尿病の罹患率が低くなります。(Shutterstock)


「コーヒーは血糖値を上げる? 下げる?」

コーヒーと糖尿病との関係について研究している専門家もいます。その研究の一つによると、コーヒーの主成分であるカフェインは、短時間のうちに患者の血糖とエネルギー消費を増加させるうえ、血糖の調整機能に支障をきたします。そのため、二型糖尿病患者は、ぜひ避けていただきたい飲み物です。
ただし、健康な人が長期にわたってコーヒーを飲んでいた場合、糖尿病の罹患率が低くなることも知られています。コーヒーに含まれる成分は、カフェイン以外にも豊富な抗酸化物質があり、クロロゲン酸やマグネシウムなども含まれます。これらの成分が、人体のなかでインスリンの敏感度を上げるため、二型糖尿病の発生率を抑えると考えられます。
そうしますと、糖尿病患者にとってコーヒーを飲むことの可否は、状況を見て判断されるべきことと言えます。

クコ茶を常飲することは、糖尿病の合併症である眼病の患者に有益です。(Shutterstock)

プーアル茶とクコ茶の効能

お茶を飲むことは、糖尿病患者にとって、血糖値の上昇を抑える上で有効です。なかでもお薦めできるのがプーアル茶(普洱茶)で、その保健効果も高いとされています。
実験によって証明されましたが、飲むプーアル茶の濃度を濃くしていくと、血糖値を下げる効果も明らかに顕れたそうです。糖尿病患者が、やや濃い目のプーアル茶を日常的に飲んでいると、血糖値に大きな変動がなくなり、ほぼ一定の安定状態になります。
ただ、プーアル茶は糖尿病患者に利点が多いのですが、その飲み方には注意が必要。同量のプーアル茶を服用した場合、一回で飲むよりも、少しずつ回数多く飲んだほうが効果も高いとされています。ゆっくり味わって、何回も飲みましょう。
クコ(枸杞)は「若返りの霊薬」ともいわれるように、多くの効能をもつことが知られています。クコには、脳細胞や内分泌腺を刺激して若返らせる作用があり、それがホルモン分泌を促し、血中の毒素を排出することで、体内の各器官の正常を保ちます。
クコの実は、お粥とともに煮て食べる。または「クコ茶」として飲用すると良いでしょう。体に必要な栄養を補給できるばかりでなく、眼精疲労を軽減させることで、糖尿病の合併症である眼病の患者にとって非常に有益と言えます。
クコの実を食用や飲用にすることは、少しずつ、長期にわたってこそ効果が期待できるものです。どんな健康食品も同じですが、一回の量を過ごしてはいけません。一般的には、一日に服用するクコの実は30gほどが適切とされています。

(文/劉維鵬 翻訳編集・鳥飼聡)