【歌の手帳】夏の夜の

夏の夜の臥(ふ)すかとすれば時鳥(ほととぎす)鳴く一声に明くるしののめ(古今集)

歌意「寝床に臥したかと思うと、ほととぎすが鳴く。その一声に目を覚ませば、もう東雲(しののめ)の空が明るくなっている。なんと短い夏の夜であることよ」。

作者は紀貫之(きのつらゆき)。

前回に続いてもう一首、ほととぎすの歌をお届けしますが、やはりこちらも夜に鳴いていますね。手元の『古今和歌集』を開いてみますと、夏歌の項目のところは「時鳥」ばかりで、日本の夏に他の鳥はいないのかと思えるほどです。

「短夜(みじかよ)」という夏の季語があります。早い夜明けを告げる時鳥の声を聞くために、平安貴族はわざわざ徹夜したというから風雅なものです。

今年の夏至は6月21日だそうです。

(聡)

 

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