大紀元時報

【歌の手帳】古井戸や

2021年7月17日 06時00分
大紀元エポックタイムズ・ジャパン
大紀元エポックタイムズ・ジャパン

古井戸や蚊に飛ぶ魚(うを)の音くらし(与謝蕪村

歌意「夏のある日。古井戸のなかで、蚊を喰うため、飛び上がる魚の水音がした。井戸のなかは暗くて、目には見えないが」。

与謝蕪村(1716~1784)の句。蚊の幼虫であるボウフラを駆除するため、井戸に鮒や鯉を入れておくことは、よくあったようです。ただし、日本の鮒の場合、水から跳ね上がって空中の蚊をキャッチするのは、現実にはないでしょう。ここで蕪村は、魚の水音だけを聞いたのです。

手元の解説書には出ていませんでしたが、明和9年(1772)のこの句が、貞享3年(1686)松尾芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」を本歌取(ほんかどり)していることは明らかです。蕪村は「蕉風回帰」の提言者だったのですから。

(聡)

 

(読者の皆様へ)下のコメント欄へ、ご自作の「短歌」「俳句」をお寄せください。歌にまつわるお話も、ぜひお書き添えください。皆様とともに作り上げる、楽しいコーナーにしたいと願っております。なお、狂歌や川柳は、また別の機会とさせていただきます。お待ちしております!

関連キーワード
^