今から食べて備えましょう「脳の老化を防ぐ食物」

食物はにとって特に重要です。脳そのものの重さは体重の2%に過ぎませんが、全身のエネルギー栄養の20%を消費すると言われています。

食事の改善こそ「最も科学的かつ健康的な治療法」

これらのエネルギーと栄養の源は、大気中と食物にあります。空気の良し悪しについて私たちが常にコントロールできるわけではありませんが、食べるものは選ぶことができます。

認知症など多くの慢性疾患は、一定の遺伝的要因に影響されるものですが、バランスのとれた食事によって、そうした遺伝的要因をある程度変えることができます。つまり食事の改善は、遺伝子の配列を変えることはできませんが、不良遺伝子の発現を制御する、いわゆるエピジェネティック治療の一種とも言えます。

脳は、全身の様々な系統から与えられるエネルギーや栄養のサポートも受けているため、体全体の健康状態に大きく影響されます。そのため、高血圧、心臓病、糖尿病、肥満などの慢性疾患は脳にも影響を及ぼし、記憶力やその他の脳機能の低下を引き起こします。

そうした慢性疾患を自己コントロールする有力な手段が、まさに食事ということになります。

私たちは、食べ物の重要性を再認識しようではありませんか。

薬物治療が食事療法に及ばないことは確かです。実験室や製薬工場で作られた錠剤が科学的だと思っている人もいますが、実は、人間の健康にとって、日々の食卓に並ぶ良質な食物こそ「最も科学的な療養手段」なのです。

「脳を若くする」7種類の食物

以下の7種類の食物は、脳機能の衰えを改善することで、認知症や記憶力の低下を予防し、脳を若返らせます。
 

1、濃緑色野菜
アメリカの市場で売られているケールやホウレンソウ、スイスビーツなどは濃緑色の野菜です。それらはビタミンB類、葉緑素を豊富に含みます。ビタミンB類は脳の生物化学反応において鍵となる補助作用と触媒作用を果たすとともに、抗炎症、抗酸化、情緒の安定や認知能力の向上をもたらします。
サラダだけでなく、スープや煮物にも濃緑色野菜を多く入れることができます。

2、ベリー類
イチゴ、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、チェリーなどのベリー類には、フリーラジカルによる脳の損傷を阻止するアントシアニンというフラボノイドが含まれています。

さらにベリー類には、抗酸化物質やマルチビタミンも豊富に含まれており、炎症を抑え、脳の健康を保つのに役立ちます。

最近の日本の研究によると、単純ヘルペスウイルス感染がうつ病のリスクを高めることが示唆されています。実は、各種の細菌あるいはウイルスの感染は、全て大脳に直接的あるいは間接的に炎症反応を起こさせ、様々な神経症状や精神症状をもたらすものです。そのためにも、抗酸化物を多く含んだ食物をとることが重要なのです。

3、ナッツ類
様々なナッツ、例えばヒッコリー、アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ピーナッツなどには良質の脂肪、マグネシウム、ビタミンE、ビタミンB類が豊富に含まれています。なかでもマグネシウムは脳の機能にとても重要な物質です。

70歳以上の女性がナッツを週に5個以上食べると、ナッツを食べない同年代の女性に比べて脳の健康が著しく改善されることが分かっています。また別の研究では、イギリスのクルミに含まれるファイトケミカルが、脳細胞の炎症を減らし、加齢の過程でも脳の健康を保つことが示されています。

4、青魚(あおざかな)
サバ、イワシ、マグロ、サンマ、サケなどの魚には、脳の健康を保つω(オメガ)3脂肪酸が豊富に含まれています。

ω-3脂肪酸をもととする栄養素には、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などがあり、いずれも認知症予防に効果があることが証明されています。サバの缶詰を食べても、これらの栄養素を十分摂ることができます。

なお、オリーブ油にもω-3脂肪酸が多く含まれていますが、オリーブ油は高温に弱く非常に酸化しやすいので、炒め料理には使用できません。

5、アブラナ科の野菜
アブラナ科の野菜は、ブロッコリーカリフラワー、キャベツ、ハクサイなどがあります。これらの野菜はビタミンB類およびカロテノイドを豊富に含み、血中のホモシステイン値を低下させる効力を有します。ホモシステインはアミノ酸であり、認知機能の低下、脳萎縮、および認知障害に関連しており、心臓にも悪影響を及ぼします。

6、香料(スパイス)
セージ、茴香(ういきょう)、クミン、シナモンなどの香料は、食べ物を美味しくするだけではありません。ポリフェノールを多く含み、脳の炎症を軽減することで、認知障害を予防し、記憶力を改善します。ですので、料理するときはスパイスを惜しんではいけません。

7、種
中国人が「瓜子」と呼んでよく食べるヒマワリの種やカボチャの種には、ビタミンE、亜鉛、ω-3脂肪酸、コリンなどの抗酸化物質と栄養素が含まれており、認知機能の低下を抑えます。亜麻(アマ)の種子から搾られるアマニ油も同様で、サラダにかけたり、他の食べ物に加えたりして利用すると、脳の健康を改善することができます。

「脳に悪い食べ物」は避けましょう

これまで、家畜の肉については言及しませんでしたが、実は、肉類にも重要な栄養素があります。例えば亜鉛、マグネシウム、鉄、タンパク質などです。

しかし、家畜の肉には2つの問題があります。1つは、家畜の成長を促進するためにホルモン剤を使用することが多く、また病気を予防するため家畜に多くの抗生物質を投与していることです。

もう1つは、「赤い肉」に飽和脂肪酸、コレステロール、鉄分が過剰に含まれていることです。この場合の「赤い肉」とは獣肉(牛肉・豚肉)を指し、「白い肉」は家禽肉(鶏肉)を指すとご理解ください。

「赤い肉」を使った加工肉には、防腐剤や添加物も含まれています。これらの添加物質は、心血管や脳血管に障害をもたらすリスクが指摘されています。こうした「赤い肉」、特にベーコンやソーセージなどの加工肉は、あまり多く食べないようにしましょう。

その他、酒類、白く精製された穀物、トランス脂肪酸を含むスイーツ類も、なるべく避けてほしい食品です。いずれも認知症の危険因子となります。

(翻訳編集・鳥飼聡)